2022年3月2日水曜日

機能的な怒りと非機能的な怒り

かつて日本のプロ野球界において闘将と呼ばれた星野仙一監督のように、集団をまとめたりする際、あえて怒りの感情を全面に出して統率力を上げたり、他者にこちらの真剣な気持ちを伝える意味で怒りとして表現する時があると思います。
このように操作的に怒りを発生させていく際は『機能的な「怒り」』だと言えます。

ただ、実際診察して感じる「怒り」とは「寂しい」「悲しい」などの素直な感情がうまく表出できず、イライラして近しい人(夫婦関係、親子関係などの愛着関係にある人)に不満をぶちまけたりするなど『非機能的な「怒り」』を表出されていることを多く認めています。
このような「怒り」は、相手を狼狽させるだけでなく徐々に相手は膠着し、さらに進行していくと、その場から逃走するか/戦うかという状態(逃走/闘争反応状態)に陥りやすくなります。
本当は自分に優しくして欲しいと思って相手に怒りを表現したのに、返って相手から反発を招いてしまい、余計に「寂しい」「悲しい」感情が強まっていく状態になり、このパターンが続くと、やがて別れるというところにまで双方が追い詰められていってしまうこともあるのです。

人は幸せになることが大事な目標だと思うのです。
その幸せの脳内ホルモンは、オキシトシン(愛情ホルモンとか幸福ホルモンと呼ばれたりもしています)になります。
オキシトシンを脳内で発生させるためには、身近な人を幸せにしていくことが大事になります。
そのための第一歩は、自分自身が大事な人に対して『非機能的な「怒り」』のままにコミュニケーションしていないか?ここをセルフモニタリングしていくことが大事になります。
合わないことを合わせる努力よりも、今、合っている部分をより拡張していく方法の方が、愛着関係は良好になる確率は高まります。
愛着関係は、自分と他者との相互作用から生じます。
どっちが正しいか、間違っているか?とかは関係がないのです。
一隅を照らすことが大切で、自分自身の近くにいる人を大切にしていくことが重要ですね。