2018年11月22日木曜日

子供が、いつも見え透いた嘘ばかりを親につく。これは、親としてどう対応したらいいですか?

当ブログで連続してご紹介している、『エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる!』の内容の一部を、診察の場面でもよく相談されることですので、僕自身が直面している事とあわせて、今回もみなさんと共有させていただきます。
〈エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる! スーザン・スティフェルマン著、徳間書店、1800円(税別)〉

小学校の高学年頃になると、友人とのつながりに価値観がシフトしてくる「成長」と「危うさ」が同居しており、家族に対して内緒のことが増えてきます。
僕自身の子どもの子育てにおいても、近頃、嘘をついているな、と感じることもしばしばあります。おそらく、そういう親に隠し事をする体験は大事なこ
となのかもしれません。 僕自身も、子どもの頃は、もちろんそういった経験があり、そのことを重ねて思い出したりします。

全てをそれが原因とするわけではりませんが、デジタルネイティブやSNSネイティブという言葉があるように、現在の子どもらがとりまく環境も加速度的に大きく変化している状況で、 診察室でも、子どもらがSNSに夢中になっていたり、とりあえず親が少し言うだけで反抗で会話にならない、といった内容の相談がよくあります。

さて、子どもが嘘をつくことでどんなメリットがあるのでしょうか?または、どんな苦痛を避けようとしているのでしょうか?
どちらにせよ、子どもは厄介ごとになって嫌な思いをするのを避けようとしているのでしょう。

子どもが親にどれだけ正直になれるかは、実は親の常日頃の子どもの接し方で決まります。
聞きたくないようなことを子どもが親に話したときの反応が決め手になります。
子どもが、正直に悪さをしたことを話したら、どうしますか?あなたは怒りますか?子どもにひどく失望したと言いますか?

子どもは、二つの嫌な選択肢のうちのましな方を選んでいるのです。
つまり、その子は正直に話して嫌な思いをするよりも、やましい気持ちを感じても嘘をつく方がましだと思っているのです。
家族に嘘をつくことは子供にとってつらいことです。
でも、子どもは本当のことを言って、親を失望させる方がもっと嫌だと思って、嘘をつく方がましだと考えているのです。

親が、子どものつらい事実を聞いても大丈夫だと安心させてあげてください。
僕自身も、こういった状況の我が子に対し、これを成長と捉えて、このまま親として正直に子どもとぶつかっていく他ないと感じています。
その中でして良いことと、してはいけないことを、子どもは親から感じ取って巣立っていくのだろうと思います。
子どもは親に愛され認められ、喜ばれていると感じると、協力し信頼関係を結ぼうという自然な本能が目覚めます。
そうすると、自分が正直でないという不安に耐えれなくなります。

僕自身が、子どもに注意しようとしているときに、気を付けていることは 「怒る」と「叱る」の違いです。
「怒る」は自分の感情を相手にぶつけること。「叱る」は、相手を本気で心配し、注意することです。
これは紙一重ですけど、一瞬立ち止まってそこに立ち返るようにしています。
まだまだ、怒りの方が勝ってしまうことはよくあり、親としても反省の日々ですけど、この違いがとても大事な事だと思っています。


2018年11月15日木曜日

心から謝るということ

今回のブログも引き続き、『エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる!』の内容を、僕自身の感想も含めご紹介したいと思います。
〈エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる! スーザン・スティフェルマン著、徳間書店、1800円(税別)〉

後述していますが、当内容は僕自身非常に勉強になっており、もしよければこのブログを読んでくださっているみなさんと共有できればと思っています。
 昨今、今回のタイトルにもなっている 「心から謝るということ」は、 実は大人になればなるほど難しいことなのかもしれません。

謝罪は心のこもったものでなくてはいけません。
誰かの感情を傷つけたり怪我をさせたりした子どもに、無理やり「ごめんなさい」と言わせることにあまり意味はありません。
謝る前に、心から後悔の気持ちを感じることが大切です。後悔は、自分の間違いを恥じる気持ちからは生まれません。
親が子供の過ちを恥ずかしいことと決めつければ、子どもの心に自分を守ろうとする力が働き、間違いを認めさせることがいっそう難しくなります。
子どもが相手の傷ついた心に触れ、自分の思いやりのない行動が与えた影響について優しく導かないといけません。
そうしてはじめて、子どもは本心から「ごめんなさい」が言えたり、謝罪の気持ちを態度で伝えられるようになります。

謝罪には4つの段階があります。
  1. 「ごめんなさい」と心から言い、言い訳をしないこと。言い訳をすると、自分のしたことを正当化して擁護していると思われるかもしれません。
  2. 「あなたは~と思ったでしょうね」と相手の立場に立ち、共感と気遣いを示します。
  3. 「これからは・・・」という言い方で、自分の行動を改善する意思を伝え、相手を傷つけた行動を繰り返したくないという意思をはっきり示します。
  4. 「私に何かしてほしいことはある?」あなたのことを許し気持ちを切り替える妨げになっていることがあれば、何でも伝えてもらうよう相手を促します。

これら4つの段階を踏んだ謝罪は、僕自身の個人としても、親としても実際にはできていません。
子育てを通して親である我々も自分の弱点と向き合い、行動に責任を持ち、プライドやエゴを振りかざすのをやめる大切さを知ります。
そうして初めて自分の行動に責任をとり、"正直に生きることの大切さ” を知る子どもを育てることが出来るようになっていくはずです。


2018年11月8日木曜日

お母さんから不登校の息子さんの対応を巡って「夫と子育ての意見が分かれるんです」という相談

今回のブログも前回に引き続き、『エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる!』の内容に沿って、相談の一例をご紹介したいと思います。
〈エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる! スーザン・スティフェルマン著、徳間書店、1800円(税別)〉

不登校の息子さんを巡って、お母さんは息子さんに対して徐々に支持的になりつつも、反対にお父さんは息子さんに高圧的で叱咤激励をするなど、対応を巡って意見が対立することがよくあり、当院でも、お母さんから、夫(お父さん)の対応について相談されることが良くあります。

まず、夫婦であっても子育てで意見が一致しないことはよくあります。
また、お父さんのそうした高圧的な対応は、お父さん自身が幼少期に影響を受けた人を手本にして自分の行動を決めている可能性が高く、こうした幼い頃の影響には強い力があります。

夫婦間において、夫が息子さんへの対応が変わらないからといって、妻から夫を説教したり、助言したり、批判しないことです。
もし、妻が夫を説教したり、助言したり、批判したりすると、 夫にとっては、自分が幼少の頃に口うるさく名誉を傷つけられた自分の親と同じだと思ってしまうかもしれません。
そうなると、夫は妻であるあなたに抵抗のスイッチが入るだけで、説教や助言、批判をしても、夫は頑として自分の行動の正当性を主張するだけです。

お母さんが息子さんに対して誠実に行動し、悪いと思ったら「ごめん」と謝る姿を、夫(お父さん)に見せてください
その結果、息子さんがお母さんに協力的になっていく姿を、夫(お父さん)が目にすれば、最後には、謝ることは弱さではなく、強さのしるしだと考えるようになるでしょう。
あくまでそれは夫(お父さん)自身が気づかないといけないことです。



2018年11月2日金曜日

診療についてのお知らせ

おかげさまで開業以来、僕は診察室で1日中たくさんの患者さんと向き合う仕事をさせていただいています。

正直、仕事の日の朝は起きてからずっとドキドキで、朝食も食欲が湧きません。
ちゃんと自分が診察を通して今日一日患者さんと治療的に関われるだろうか?
無事に1日の診療が滞りなくやれるだろうか?
という予期不安で緊張しっぱなしです。
これは開業して1年という月日が経過しても、慣れるどころか全く変わっていません。

でもこれは、自分に対する期待へのプレッシャーなのかもしれません。
なぜなら、自分は良い治療ができると思っています。
心の底では「自分の治療に、自分が最も期待している」というポジティブな側面がいつも自分を後押ししてくれているという“心のパワー”みたいなものがあることにも気づいています。

しかし、残念なことに日々の診療で、救いを求め期待して当院に来院されている患者さんの全てを満足させることができていませんし、治療に失敗した患者さんのことが脳裏から離れず、自分自身がひどく落ち込んだりすることも日常茶飯事です。

でも、その失敗から学んで自分自身が治療者として成長することでしか、その失敗は取り戻せないと思って何とか前を向いて日々の診療に向き合っています。

その上で、 当院スタッフとも話し合い、この度「お知らせ」として、あらためて患者さんにお伝えすることにしました。

僕の診療を振り返り改善していかなければならない点として、診療の時間配分を間違ってしまいこちらが焦って対応したことが、最も診療で失敗してきた点だと感じています。
ですので、診療の時間の目安という枠組みについて、お知らせさせていただき、患者さんにご理解とご協力を得て、今後、より良い治療を目指していきたいと考えております。
何卒、通院されている患者さんには「お知らせ」をご一読の程よろしくお願い致します。

  さくメンタルクリニック Webサイト



2018年11月1日木曜日

衝動的で短気で、とてもデリケートな息子に、どう注意したらいいか?という相談

今回のブログは、患者さんからよく受ける相談を『エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる!』の内容を踏まえつつ、ご紹介したいと思います。
〈エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる! スーザン・スティフェルマン著、徳間書店、1800円(税別)〉

親御さんから、言葉や行動で人を傷つけることもあることを子どもにわからせたいが、どう伝えれば “カッ” となるのをやめさせることができるか?という相談を受けることがよくあります。
感受性が強く衝動的な子どもは、傷つけられたり、侮辱されたりすることにとても弱いです。一方で衝動を抑えるブレーキが弱く、怒りを爆発させがちです。

こうした問題を簡単に解決する方法はありません。
息子さんに、怒りを爆発させたことを後悔させることは良いことです。自責の念が行動を抑止するからです。
しかし実際は、衝動的な子どもはたいてい感情の発達が未熟なために、きちんと善悪の判断をしないまま暴言を吐いてしまいます。

親がしてあげれることは、子どもが激しくわき起こる感情を自制できず恥ずかしいと感じていたら、それは本当の自分ではないと思わせることが必要です。本当の自分と、自分の困った行動とは、切り離して考えるように息子さんを導いてあげましょう。

これは決して、自分の問題行動に息子さんが責任がないと言うことではありません。行動の表現の仕方に問題があるだけで、本当は自分は立派な価値ある人間だということをわかせるのです。
息子さんの感情の嵐がやってくる際の前兆(心臓がドキドキする、おなかがむかむかする)に気づかせ、その感情の嵐が誰かに深刻な傷をつける前に、親や信頼できる大人に助けを求めることができるようにしましょう。