2020年8月27日木曜日

患者さんに少しでも処方したいもの

僕は、『精神科専門医』『児童精神科認定医』『こどものこころ専門医』という資格をベースに、ブリーフセラピーという治療戦略を大切にして精神療法、薬物療法、心理教育などのアプローチを保険診療内での治療的制約 (初診は30分程度、再診は10分前後)で実践していきたいと考えています。

なのでクリニックを開業してからは、 勤務医の時のように入院中の患者さんとじっくりと話し込んだりすることや、30分とか1時間程度時間を作って診察をすることができなくなったこともあり、心理士がやるようなカウンセリングとしての役割はなかなか出来ません。

ただ、この限られた時間で少しでも患者さんに治療的に対応して、患者さんの【心の可動性】が「ましになったらいいなぁ~」「そのきっかけになったらいいなぁ~」と思って診療しています。

スイスの精神科医・心理学者であり分析心理学を創始したユングが、治療者に必要なこととして「とりわけ必要なのは我慢と忍耐である。というのは技術よりも時が解決してくれることがよくあるからである。」と述べています。

実際、何とか患者さんを良くしようという意欲こそが、返って患者さんを悪くしてしまうこともある為、僕自身は診察に入る前の心構えとして「患者さんは、僕の知るところではない場所で、偶発的な出来事などを通じて自然に良くなっていくものであり、治療者であるこちらがどうにかしようという思いが強くなりすぎてはいけない」と自分に言い聞かせて「患者さんが治っていく邪魔をしないように」と、まだ道半ばですが思っているところです…



2020年8月20日木曜日

精神科と児童精神科の違いについて

今回は『精神科』と『児童精神科』の違いについて、ここで少し説明させていただきたいと思います。

日本でもようやく一部の大学で「子どものこころ診療部」という講座が開設されつつありますが、欧米の大学病院などの多くでは『精神科』と『児童精神科』で、別々に講座が設けられています。
日本でのこういった状況もあり、精神科専門医の有資格者が約1万人程度いるのに対し、児童精神科専門医の有資格者は約1,000人程度というのが現状です。
精神科医の中には『精神科』と『児童精神科』は『内科』と『小児科』くらいの違いがある、と話される先生もおられます。
これまでの精神科医療では、メインの疾患が「統合失調症」でしたが、現在は「発達障害」を中心とした、発達の問題や対人関係の問題など、対象となる患者層や疾患層が大幅に変わってきているという時代に突入していったと感じています。

児童精神科』の領域は、僕のように精神科専門医をベースとしている先生と、小児科専門医をベースにしている先生の2つに大きく分かれます。
小児科専門医をベースにされている先生は、身体疾患と精神疾患などの鑑別能力は高いということが特徴で、 精神科専門医をベースとされている先生は、薬物療法や精神療法という点を得意とされている先生が多いのが特徴です。
無論、各医師によって、そうした領域は幅が広く、また人間性という部分や診療の体制や状況など様々な要素が入ってくるため一概には言えませんし、資格だけで判断するのはお勧め出来ません。

ちなみに、以前、僕が勤務していた病院では、原則、年長さんから中学3年生(15歳)までの年代の精神科的な領域を『児童精神科』が対応し、高校生年代からは『精神科』の全般の医者が対応するという方針です。
各施設によって対象の年齢や疾患などの対応方針が分かれますので、実際に受診されたい医療機関に問い合わせをしてみてください。

もし『児童精神科』の専門医や医療機関を、お探しの場合は下記などの学会の認定医のリストが、各Webサイトに記載されています。
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 ・日本小児心身医学会認定医 
 ・日本小児精神神経学会認定医
 ・日本児童青年精神医学会認定医
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また、それらの各学会の認定を統合してできた「子どものこころ専門医」のリストについても、Webサイトにリストが記載されていますので、よければそれらを参考にしてください。
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 ・子どもものこころ専門医機構
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僕自身は『精神科専門医』と『日本児童青年精神医学会認定医』『子どものこころ専門医』のライセンスを有しています。
僕は、精神科医になってからずっと《子どもから大人、老人まで》という、幅広い対象年齢と精神疾患を対応することを念頭に研修してきたので、できるだけシームレスに、このクリニックでできることは限られてはいますが、微力ながらサポートできたらと思っています。



2020年8月13日木曜日

治療はシンプルイズベスト!

この数ヶ月、新型コロナウイルス感染症の影響で、勉強会に参加することが全くなくなってしまいました。
当院でも、地域セミナーを開催する予定は未だ立っていません。

こういった状況になるまでは、僕は時間をみつけては勉強会に参加していました。
色々な勉強会がありますが、なかには検討し合う時間を十分にとって話し合うことに重点をおいた会もありました。
そこでは、かなり色んな関わりや支援などが出たりするのですが、僕は、そうした勉強会に限って後半から眠くなってきてしまうことがあります。

そうした勉強会で感じることは、治療ということが、かなり難しく感じてしまうのです。
勉強会で、何を治療者が見立て、どう関わろうとしたのかの話し合いが進み、検討していくうちに、よくわからなくなっていき後半には徐々に睡魔が襲ってきてしまうことがありました。

そういったときに、ふと思ったことは『治療はシンプルイズベスト!』でわかりやすい関わりがいい!

「早い!」「やすい!」「うまい!」みたいな、そういうB級グルメのような治療者になりたい!そう思っています。

結局、治療というのは、ほんの少しの下支えだと思うので、人は少しの下支えがあれば、後は現実の世界で何とか生きていけるはず!
だからこそ、治療者は、ほんの少しの希望や元気を患者さんにお届けすることに徹する!

後は、アントニオ猪木さんが言っているように「元気があれば、何でもできる!1,2,3だ~!」だと思うんです。

治療は、シンプルに分かりやすく効果的な関わりを、これからも摸索していきたい!
そう思っています...



2020年8月6日木曜日

親自身がどう生きているか?が大事!

以前にも僕の両親の事や、僕の幼少時代について触れた内容のブログを何度か投稿させていただきましたが、僕が幼少の頃、自宅は2階建住宅で、両親が『作田整骨院』という整骨院を経営していたこともあり1階部分は両親の仕事場、2階部分が作田家の生活スペースという暮らしをしていました。

そういった状況もあり、時折出かけることはあったものの、常に1階には両親が働いており、そこは僕ら兄弟にとっては遊び場でもありました。
来院されていた患者さんや、両親は仕事場で遊んでいる、われわれ兄弟をどういう風に思っていたかは解りませんが、われわれ兄弟にとっては、両親が患者さんを診療するということが働くイメージとして子供の頃から定着したこともあり、僕の兄弟は各々医療職に就いています。

両親は朝から晩まで働き詰めで「勉強しなさい!」とか特に口やかましく言われた記憶はありませんが、保育園に通っていた頃なんかは、迎えに来てもらえるのが遅かったので「お母さんはまだかな~?」と寂しく感じることもありました。
でも、そういった経験で、生活の為に働くということの大切さをリアルに感じることができたからこそ、僕は今、自分なりに勤勉に働けているつもりです。

子育てにおいて「親がどう関わるか?」「何を伝えるか?」よりも、子供は親が考えている以上に、親の生き方に影響を受けるのではないでしょうか。
だからこそ「親自身がどう生きているか?」そして、その親の背中を子供はしっかりと見て色々と感じているはずです。
「そのことを意識しながら生活しないとあかんなぁ~」と、自分の幼少の頃を振り返り思いました。