2019年2月28日木曜日

自分の言葉で対応することが大事ですね

突然ですが、僕は精神科医という仕事をしています。
その仕事のほとんどを占めているのは、患者さんとの対話です。

精神科医の仕事は、薬物療法や、心理教育や、患者さんとの関わりの全てが精神療法の中に包含されたものであると思っています。
医師と患者さんが診察室内での対話を通じての相互作用で、少しずつ患者さんが良くなっていくためのお手伝いをするということ、その関わりの全般そのものが精神療法なんだと考えています。

少しでも自分の精神療法のレベルをアップできるように、時間を見つけては、いろいろ勉強して診療に臨むのですが、ときには勉強してきた内容が何か借り物のような感じで、誰かの物まねをしているような感じになったりすることもあります。
やはりそのようなときは、患者さんの心には響かず、むしろ治療的にスベっている、その場が凍っただけ、という状態になってしまいます。

少しでも自分の中に治療的な力が身についていって、”自分の、心底、内部から湧き出てきた言葉で患者さんに対応していきたい!" そう思いながら日々試行錯誤していますが、このざまです!残念!と、いつも自分への不甲斐無さを感じながら、また明日に向かって診療の準備をしていきたいと思っています。

上記は、まさに日々の僕の心の想いです。
以前、当ブログでも少しふれさせていただきましたが、 仕事の日の朝は起きてからずっとドキドキで、朝食も食欲が湧かず、 しんどい中で来てくれた患者さんに対し、ちゃんと自分が診察を通して今日一日患者さんと治療的に関われるだろうか?無事に1日の診療が滞りなくやれるだろうか?という予期不安で、緊張しっぱなしという状態で、 日々の診察前が一番しんどいです。
〈 以前のブログ ⇒ 診療についてのお知らせ 〉

また、僕には治療的に関わる力があると、どこか過信している自分がいることも自分自身気づいています。
その自分の期待に応えられるよう日々頑張って、自分自身もいろんな人に助けてもらうことで、その支援の輪が広がって少しでも患者さんを楽にさせることが、自分の人生の楽しみです。
これからもその楽しみに向けて ”自分らしく” 進んでいきたいと思います。 


2019年2月21日木曜日

子どもどうしが喧嘩した際の、最近 親である僕がした対応について

先日、仕事から帰ると、子どもたち二人で仲良くお風呂に入っていました。
しかし、その次の瞬間、この世の終わりのような泣き声で子どもたち二人がお風呂から出てきて、お互いに自分の言い分を主張し喧嘩がヒートアップしていきました。

僕は、双方の間に入って両方を真剣に見た後「コマネチ!」を数回繰り返しました。
 ※ コマネチ!・・・ 1980年代前半に大流行したビートたけしさんの代表する一発ギャグです。(一応、もし知らない方への補足です。)
子どもたちの間に冷たい空気が流れていきましたが、その後は、お互いに何事もなかったように引き続き喧嘩をしていました。
今度は、僕は自分の席に戻ってテレビを集中して観て、その内容を夫婦で話したりして我関せず・・・。
その数分後、子どもどうしの喧嘩は終わっていました。
翌朝は、喧嘩をしていた子どもたち二人で早起きしてブロック玩具でごっこ遊びを楽しんでいました。

子どもだから些細なことでも怒りますし、そこを親が「どうしたの?」と喧嘩している最中に間に割って入ると、親はその場で裁判官のような役割を担わされ、その場は法廷と化し、どっちが正しいか?のヒートアップが生じます。
また、どっちが正しいかを親が追及すると、親が弁護士のような役割を担わされ、やはりその場は法廷となってしまうでしょう。
しかし、どっちの言い分も聞くなと言っているわけではありません。念の為ですが、親の対応として大事なことは「コマネチ!」だと言いたいわけでもありません。(笑)

大事なこととして自分自身が意識していることは、こうした子どもどうしで喧嘩している時に、親が心の中で「兄弟・姉妹喧嘩はダメだ~!」と、本気で「問題だ~!」と思いすぎないように気を付けています。
時には子どもを叱らないといけないこともあるでしょう。
感情に任せて叩くなどは絶対にダメですが「叱るのはせいぜい60秒以内で済ませることが重要です。
子どもは子どものうちに喧嘩して、仲直りして、人間として成長していくと思いながら親は子どもと関わっていく。
子どもの問題行動を、本気で「問題だ」と、親が思わないで子どもと接していくと自然と問題は消えていくことが多いと思います。
だからこそ、僕はそんな時には「コマネチ!」

寒い日が続きますが、みなさん健康第一でいきましょう!



2019年2月14日木曜日

幸せの基準

今回のブログは、久しぶりに『エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる!』の内容をご紹介したいと思います。
〈エックハルト・トールの「子育て」の魔法:あなたが気づけば、子供は変わる! スーザン・スティフェルマン著、徳間書店、1800円(税別)〉

まず、作家のマーシー・シャイモフという方を、簡単にご紹介したいと思います。
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【プロフィール】
マーシー・シャイモフ(Marci Shimoff/女性)は、自己啓発セミナーを手掛けるメンタルコーチ、自己啓発作家、講演家で、企業や教育機関などで数多くの講演を行っている人物です。著書も多数発表し、彼女の著作は30以上の言語に翻訳され全世界累計で1400万部を突破しています。

【主な著書】
『確実に自分を変えていく法:もっと「脳にいいこと」だけをやりなさい!』三笠書房(訳:茂木健一郎)
『「脳にいいこと」だけをやりなさい!:心と体がみるみる元気になる生活術!』三笠書房(訳:茂木健一郎)
『ブレイクスルー!:自分らしく生きていくための12の壁の壊し方』フォレスト出版(ジャネット・アットウッド,クリス・アットウッド,ジェフ・アフレックらとの共著, 訳:鶴田豊和)
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※ この方の本を売りたいわけではありません(笑)

このマーシー・シャイモフは、幸せの基準を決めるのは、
・遺伝(50%)
・習慣(40%)
・環境(10%)
の3つだと言っています。

だとすると、悲観的な考え方をしがちな遺伝子を受け継いだ人は、残念な人生を送る可能性が50%になる?

しかし、実際はそうではありません。
遺伝子学者であるデイビッド・レイケル(ウィスコンシン大学医学公衆衛生大学院の統合医学部長)は、習慣を変えればDNAも変えられると言っています。
エピジェネティクス(遺伝子の周りという意味です)、つまり遺伝子を浸すスープは選択によって決められると表現しています。
遺伝子を喜びや幸せや運動や栄養満点のスープに浸せることもできるし、怒りや希望の欠如、座ってばかりの生活習慣のスープにも浸すことができます。

人間は毎日6千もの考えごとをしているそうです。
そのうちの80%は否定的なことだとも言われています。
しかも、今日考えていることのおよそ95%は、昨日か一昨日かその前日に考えていたこととだいたい同じとみられています。

つまり、習慣化している考えを変えなければ、4万5千個もの否定的な考えに来る日も来る日もどっぷり浸り続けることになります。

子どもに幸せを感じるという習慣を持たせる最も効果的な方法は、親自身がそうした習慣を身につけることです。
私たち親が、人生の難局で悲しみに暮れたりせずに自身の失望を受けとめる姿を見せれば、子どもは人生の難局においても冷静でいる自分をイメージできるようになります。

エックハルト・トール曰く、本当の幸せは穏やかで奥深いものです。
幸せは、私たちが今ある状態そのものであり、普通の日とも特別な日も関係なく、日々のあらゆる瞬間に深い喜びを与えてくれる、それに自分が気づくかどうかにかかっています。
心を開いて今の瞬間に与えられているものに感謝すれば、一切れのパンに手を伸ばすことにさえも幸せを感じられるようになります。

『本当の幸せとは、生きているという奇跡を楽しむことにある。』
これは、子どもたちに伝えたい大切な教えです。