2023年7月26日水曜日

学校に行けない子を学校に行かない子にするのが支援

 小4以降、本格的に不登校になったお子さんで「学校にいけない子」ということで、当院に通院される方は、結構おられます。

 通院加療上に目指す支援は、学校にいけるようになることではありません。何よりも、学校に行かないと自分で決められる子にすること(4以降の児童を指しております。)が大事です。学校に行かないと自分で決められる子は、その代わりに、放課後児童デイに行くとか、塾に行くとか、別室登校など、自分で選択し、決断し、実行できるように、長期的にはなっていくことが多いです。

 不登校の達成目標、支援目標は、本人自身が人生の主人公になることです。親の目、先生や他者の目を気にして生きるより、まず第一に、自分が自分の人生という物語の主人公になることが、最も大事なことです。だからこそ、学校に行かないと自分で決断したことを、まずは、否定するのではなく、そこを受容、尊重したうえで、支援を考えていく。ここを我々親を含めて支援者は、忘れてはいけないところですね。

 当然、親御さんにとっては、不登校となったお子さんが、社会の当然のルートから外れることの不安が強まり、お子さんに、厳しく指導したくなるのはわかります。でも、親が、本人よりも前面に出て、お子さんが、学校に行くようになって、親は満足なんでしょうか?

「誰のために学校にいっているのか?」は、あくまで「自分のために学校にいっているねん、自分のために勉強しているねん。」だったら、いいと思います。

 児童期に、親の目を気にする子どもになってほしくありません。それよりももっと大事なこと、自分自身の心を気にする子どもになって欲しい。そしたら、青年、成人期になって、精神科に受診することを防げます。

 僕は、そうやって、おとなになってから、精神科に受診する必要がなくなるように予防的支援を重要視したいのです。

2023年7月19日水曜日

アンパンマンの正義の定義が大事!

 それいけ!アンパンマンの作者のやなせたかしさんが、あんぱんまんという正義のヒーローを生み出した経緯について語ったことがあります。

「正義というものはいったい何か。ミサイルで相手をやっつけることなのか、あるいはそこに来た怪獣をやっつけることなのか。僕はそうでないと思ったのね。本当の正義の味方だったら、そこにお腹をすかせた子供がいたら、その子供にパンをわけて与える人が正義の味方なんだと思ったんです。」

 このやなせさんの言葉から、読み取れるように、自分の考えや信念を相手に強要することは、悪でありその延長に戦いがあり、戦争がある。アンパンマンは、反戦の象徴であり、日本人らしい「正義」の味方だと思います。アンパンマンは、バイキンマンを、殺したりはしないし、やってはいけないことを注意はするけど、バイキンマンそのものを否定していない。困っている人がいたら、その人に寄り添う。他者に、自分ができることを、自分のできる範囲内で与える。

愛と勇気だけが友達と言い切れるアンパンマンがすごいなと思います。

 

2023年7月12日水曜日

娘が気づいたこと

  最近は、娘の塾への送迎が、僕にとって楽しみになっています。車内で、少し娘と話せることが、僕にとってとても大切な時間です。

 そこで娘が、話していたことで、先日学校で、感冒が流行って、休み時間に、いつも一緒にいた友人たちが、みんな感冒で休みになったそうです。その時に、休み時間に一人になって、内心「うわ~、ぼっちや~、どうしよう~」と思ったそうです。

 その時に、「いや待てよ、私気づいてん、1人で休み時間を過ごしている人をみて、自分が、「うわ~ぼっちや~」なんて、思ったことがないことを。つまり、自分自身の中で、勝手にぼっちや~と焦っていただけなんだと。だから、休み時間に、1人でしかできない、読書とかして休み時間で別の楽しみを見つけれた~。」と話してくれました。

 この逆転の発想で、自分を客観視できるの、すごいな~と感心しました。(親ばかですいません!)自分が思っている程、人は他者を気にしてないし、みてない。

そこを自分で、はっと気づけるって、すごく大切なことですよね。健康的に成長している娘をみて、父としては、嬉しかったです。

2023年7月5日水曜日

登山を人生に例えるなら~

  診療を通じて感じていることの中で、厳しい養育環境であったり、学校での迫害体験などを通じて、周囲に対して敏感・過敏になって、いわゆる「HSP状態」になっている方が多いということです。

 登山で例えるなら、山登りという非常に主体的な作業なのに、周りの人ばかりを気にして、登山そのものがなかなか楽しめないし、進めない状態になっている。そんな登山って、いやだし、つらいですよね。自分の人生の主人公は、自分自身であってほしい。

 過剰同調を求められるような昨今の社会情勢で、自分の人生を、自分以外の誰かに乗っ取られていきている人が多いんだと思います。それは、人生そのものが、本末転倒ですよね。

 でも、そうならざるを得なかった家庭環境を含めたトラウマのような傷つきがあるんだと思います。そこは、1人ではなかなか回復できないし、一朝一夕では解決はできません。できれば、癒す治療の流れに入って、いつかは、自分の人生の主人公が、自分自身となれるように応援したいと思っています。