2022年10月26日水曜日

自閉スペクトラム症と愛着スペクトラム症

この10年程度診療する中で、複雑化、長期化、慢性化する精神疾患の背景に、自閉スペクトラム症(ASD)が背景にあることを意識し、そこの知識や支援を念頭に置くことで、適切な支援がみつかることが多いと感じ学んできました。

その上で、難治的、通常の治療の枠組みでは、なかなか改善しにくい傾向のある患者さんの多くに、愛着スペクトラム症が併存していることが多いことが分かってきました。
ここでいう、愛着スペクトラム症とは、はっきりとした虐待を受けてきたなどというよりも、子ども時代に、主に母親との関係性を通しての、心の安全基地が育まれなかった状態で現在に至っていることをいいます。

精神医療では、愛着や愛着障害が種々の精神疾患の成因や回復において、どれほど大きな役割を果たしているかということに十分な認識や対処の術をもっていないのが現状だと思います。
僕は、児童精神科、精神科を標榜し、毎日2歳から80歳までの老若男女の診察をしているうえで、不安定な愛着スタイルの影響が、その後の人生に大きく影響しているということを感じています。
ベースに、愛着スペクトラム症の影響の有無を念頭に、当院でできることを考えていきたいと思っています。

2022年10月19日水曜日

見守ることが大切!

当院では、たくさんの観葉植物を育てています。
当院が『ちょっとでもオアシス的になればいいなぁ~』と願いを込めて、ジャングル化を目指しています。

でも、定期的に枯らしてしまいます。
水やりでも、水が無くなって土が乾燥してくると、それで根が伸びて植物は強く、たくましく生きていくから葉っぱが丸くなったりしてから、水をあげるなど、ちょっとスパルタ的にして育ててくださいと、地元の観葉植物やさんに指導を受けたりします。

でも、乾燥して枯れてしまうのが怖くて、どうしても水を早め早めにあげちゃいます。

見守って、しんどくなってから手を差し伸べる。
その見守ることが大切なのは、わかっているけど、なかなかできない。
『子育てと、植物を育てるのも似ているなぁ~』と思います。

でも、こうして定期的に観葉植物屋さんに指導されて、見直して、また失敗しちゃうを繰り返して、最近は枯れることは減ってきています。
「見守る」ことを大事にしつつも、でも、やっぱり早めに水をあげちゃうけど、愛情を持って、育てていきたいと思っている今日この頃です。

2022年10月12日水曜日

70歳台で人生が決まる!

当院は、2歳頃から80歳台の老若男女の方が受診に来られます。
児童精神科、精神科を自分が担っていることによって否応なく『人生とは』と自問自答をし続けるような感覚となったりします。

その際に、70歳頃に人としての生き方が決まっていくように思います。
70歳になると、もうどんなに頑張っても、若くないし、もう死を意識していく段階に入ります。

誰もが必ず迎える「死」というゴールに向けての目標は、僕は「納得」だと思います。
自分らしく頑張ったとか、自分らしく、つらいこともあったけど楽しめたとか。
この自己満足「納得」を得るためには、なるべくペルソナ(社会的仮面)が少ない方がいいし、できるだけ他者から『どう思われるか?』ではなく、自分からみて『納得いくか』の方がいい。

70歳台になったら、どんな人でも色々足りないものが出てくると思います。
そこをフォーカスして『ないない~』と嘆くのか、『まだ、こういうことも出来る』と出来るところをフォーカスして生活できるのか?
それは、それまでの生き方の集大成になってくるのだろうと思います。
必ず『死』というゴールが来るから、心配しなくても『人生はあっという間』各々に残された人生を大切に、能動的に、主体的に生きていく。
そのサポートができるようなお手伝いができればと思っています。

2022年10月5日水曜日

綾小路きみまろさんの "SDGs"

最近よく耳にする「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連加盟国が2030年までの達成を目指す17の目標を掲げたグローバル・プロジェクトで、貧困をなくそうとか、環境に優しいクリーンエネルギーを普及させようとか、いずれも無理のない範囲で改善していきましょう、という内容です。

その「SDGs」ついて、唯一無二の漫談家 綾小路きみまろさんが熟年夫婦のネタにしていた内容がすごく印象に残ったので、そのまま記載します。

夫婦関係にも「SDGs」のような、暗黙の改善目標みたいなものがある。
夫婦の「SDGs」です。
夫婦の「SDGs」とは、相互の欠点として気になるところは目をつむって、お互いが心地よく過ごせるように努力するのです。
お互いに向き合うと、嫌なところは目をそらそうにも視界に入ってきますから、なるべく向き合わないで、隣に並んで同じ景色を眺めるのです。
お互いに嫌なところがあっても、感謝の気持ちがあれば、根っこの部分で夫婦はちゃんと繋がっているもの。
お互い「ありがとう」の気持ちを忘れず S(少しの)D(ダメは)G(我慢する)を目標に共生していく。

そんな気持ちでいると、夫婦関係は波風が立たず平穏無事にやっていけると思いますが、みなさまいかがでしょうか?