2024年11月27日水曜日

働かざるもの食うべからず

  このことわざの由来は、キリスト教の聖書だそうです。怠けて働こうとしない者は、食べてはいけないという意味で、徒食(働かないで遊びほうけること)をいましめる言葉です。この言葉の留意点は、「働かざるもの」は、病気や事情により「働きたくても、働けない人」を対象としていません。外来で、心身で体調不良で働けない状態なのに、上記のことわざで、働けない自分を責めてしまっている方がおられたので、キリストは、そういう人を責めていないのです。だから、事情があって、働けない人は、自分を必要以上に責めずに、どうか、「自分自身をゆるしてあげて欲しいな~」と思っています。自分をゆるすのって結構難しいですけど、頑張って、自分自身を、ゆるしてあげて欲しいのです。

2024年11月20日水曜日

好きなことを能動的に取り組んで、失敗するのって収穫が多いんだな~

  僕は、日々診察室で、精神科医、児童精神科医として診療しているわけですけど、どこかで「俺はいい治療者なんや~」と自己陶酔している部分があるんだと気づかされました。

 先日も、講演会で、自分のいいところを見せたい、人から良い評価を受けたいという欲望が湧いていたんだと思います。そうなると、逆に、どもったり、同じことを何度もいったり、段々焦りも混じってきて、言動が硬くなる。そばにいた、重鎮の先生が、温かく見守って、ドンマイ!ナイスファイト!と励ましてくれて、自分のダメなところも含めて素を出していこうに変換していけました。自分の中で、大切にしたいこと、好きなことであれば、慣れないことでも挑戦できて、その過程の中で、自分自身の弱さや自己顕示欲とか自己愛的な部分などとも向き合って、そうした部分から少し解脱できていい経験になりました。

2024年11月13日水曜日

発達障害のお子さんのこだわりには、親御さんは、逆に脅迫してみよう!

  発達障害のお子さんの養育の際に、結構、親御さんから、「こだわりがきつい~、切り替えれなくて困ります」と相談を受けます。例えば、宿題できれいな字で書けないといって、紙が破れるくらい消しては書いてを繰り返すみたいな。親としては、そこまでこだわらずに、適当にやって、臨機応変に対応して欲しいと伝える。でも、子どもは受け入れられず、泣いちゃうみたいな・・。

 そんな時に、おススメが「こだわりには、逆に、脅迫しよう!」です。つまり、子どもに、親御さんが、きれいな字で書きたいという思いに対して、支持し、応援するのです。「あきらめないで、きれいな字で書こうな~」と。うまくいかなくて、悔しがっていたら、よくあきらめず、頑張っているね、と労うことができる。その上で、「もう無理や~、やめる~」と言えたら、それも、よくぞ切り替えれたやん。あきらめるというのは、仏教では、「あきらかにみる」という意味で、伸びるところは伸ばすけど、無理やと思ったら、やめておくという前向きなことや、とされているしねと支持する。つまり、親サイドが、最初にこだわりに、こだわれ!と応援していたおかげで、お子さんがこだわりを続けても、やめても、褒めることができて、お子さんの自尊心を育むことができる。そういうやり方も参考にしてみてください。

2024年11月6日水曜日

ダブルバインド養育の危険性

 どうしても、親サイドの考えと子サイドの考えがすれ違うこと、あると思います。最近ではそのような際、親サイドとしても、子どもの意見を尊重することの重要性の知識は結構入っているので、親が子どもに対して「あなたが思うようにやったらいい」と言うけど、実際のトーンは、イライラしている感じで言ったり「それで失敗しても知らんで」と言ったりしがちです。これは、言語的には、子どもを尊重、非言語的には、子どもを否定となります。子どもからしたら、親の発言は、言語と非言語が不一致にとなり、混乱指示になるため、「親は、私のこと、何も分かってくれない!」と、悲しみや怒りが生じて、子どもの自立に向けての推進力がそがれてしまいます。できれば、子どもの背中に、親は応援していこうという姿勢が、ちゃんと、伝わるといいですね。子どもが自分自身で考えて、うまくいったら、親は「すごいやん!ナイスファイト!」、うまくいかなかったら、「ドンマイ!」です。前者のように、親が子どもに対して、非言語的に否定した感じになると、子どもが失敗したら「ほら、だから、言ったでしょ!ちゃんと親の言うことを聞けよ!」と言いたくなるものです。親である僕もそうです。でも、親自身も、何とか踏ん張って、後者の子どもの後方に、応援者として親は伴走していけるように頑張りたいですね。結局は、子どもの微弱な能動性を育むのが親の仕事なので、子どもが正しい選択をすることよりも、色々失敗しても、自分で考えて立ち上がれる子になった方が、よっぽど価値ある関りとなるので。敵は、社会規範とか常識といったものだったりしますので、そうしたことに振り回されずに、子どもの健やかな育ちを見守れる大人になれるように頑張りましょう。