2020年12月31日木曜日

優秀な治療者を目指すのではなく、各々の患者さんに対して治療的で柔軟に対応できる治療者を目指したい!

年末になると、自分の中で回想することがあります。

以前、家族療法の大家である吉川悟先生の指導を受けていた時期がありました。
その吉川悟先生から
「作田先生は、優秀な治療者を目指しているね。でも、患者さんにとってよい治療者とは、患者さん各々に治療的に柔軟に対応できる治療者が本当に良い治療者なんだよ」
と指導され、自分の頭の中に強い電流が走ったような衝撃を感じました。
 
治療者ありきの患者さんではなく、患者さんありきの治療者へと転換するそのコペルニクス的転回。
言ってしまえば「病を診るのではなく、人を診る的な感じですね」

それ以後、地道かつ継続的に患者さん各々に対して治療的な対応ができるように努めている日々です。
各々の患者さんに対して柔軟に治療的にアジャストして、小さなヒットを積み重ねる治療者でありたい。
吉川悟先生に言われたその日からずっと、その想いを大切にし続けているつもりです。

治療者を引退するその日まで、その想いを大切にしていきたいと思います。

 

 

2020年12月24日木曜日

診療時間を減らし、売り上げを減らしていく方向で検討しています

 当院は夜は遅くまでしていないですし、土曜日は休診だしと、診療している時間がクリニックとしては少ない方だと思います。

実際、患者さんにも『もう少し夜遅くまでやらないの?』『土曜に診療していないの?』という問い合わせを受けたりもしています。


Webサイトの『お知らせ』でも告知させていただいていますが、僕自身は、むしろ反対に診療時間を減らしていきたいと考えて、来年1月より診療時間を減らしていく方向です。


その最大の理由は、僕の診療のセールスポイントは、診療行為そのものにあるからです。

診療という限られた時間の中で、薬物療法、精神療法(心理士との協働でのカウンセリングも含む)、心理社会的なアプローチ(診断書作成などを含む)などを含めた行為を、自分なりに診療時間外でも勉強したり、僕自身が指導を受けたり、次回の患者さんの診察に向けての準備を診療が終わってから毎晩しています。


むしろ診療時間以外は、次の診療に向けての準備期間と捉えて生活しているような日々です。

その時間をちゃんと確保しないと、僕の診療は成り立たないのです。


「診療は試合!」という考え方です。

1週間前、1か月前、1年前、開業前よりも、 僕なりに診療上の知識、意識、治療の技術は進歩してきたと思っています。

しかし、それに反比例して診療は混み合ってしまい一人一人にかける診療時間は減少傾向にあります。

そういった背景もあり、初診の受付を中止したり、来年からは診療時間を減らしたりしながら試行錯誤中です。


自分の中で大切にしていることは、「良い診察(≒試合)」をして、少しでも患者さんを楽にする一助を担いたい。

そして、患者さんから、それなりに納得してもらってお金を頂いて、そのお金で家族や従業員に還元していきたい。

この循環を大事にしたいからこそ診療時間を減らして、診療の準備に時間を割きたい。


全ての患者さんのニードに応えることは当院ではできないことが分かっているからこそ、自分のできることを追求していきたいという想いでこれからもやっていきたいと思います。

2020年12月17日木曜日

生きること、そのものがカウンセリング!

 現在、映画でも大ヒット中のアニメ『鬼滅の刃』で、主人公を含むメインのキャラクターが、地道かつ過酷な鍛練の積み重ねにより会得する、睡眠中を含む二十四時間つねに全集中の呼吸を維持し続ける身体活性化の高等技術の一つである 「全集中“常中”」というものがあります。
当物語の剣士の中でも最高位である「“柱”になるための入り口」とされており、基礎であると同時に奥義にも近いものと思われます。

鬼滅の刃でいうところの戦闘中など真剣に向き合う場面が、僕の仕事でいうと診察になりますが、実際、僕は診察室から一歩出ると、セラピスト的な部分はオフになります。

しかし、「柱クラス」のセラピストになるには、やはり起きている間、いや寝ている時も?「全集中の“常中”」するくらいになると、より良いセラピストになれるのかもしれません。

そこまでは実際問題無理ですけど、日常の家族関係や職場でのスタッフとの関係や友人関係でも、なるべくセラピスト的な視点を持ち続けて診察室とプライベートの違いを埋めていきたいと、鬼滅の刃で一生懸命戦っている彼らを見て感じました。
彼らは、生きることそのものが戦いでしたが、僕の場合は、生きることそのものがカウンセリング!となるように日々を「全集中!」していきたいと思います。

2020年12月10日木曜日

僕の一番の強さは、弱い自分を認めているところだと思います

 「無知の知」は、ソクラテスの「知らないことを自覚する」という哲学の出発点に向かう姿勢を簡略して表現した言葉です。


ある時、ソクラテスの弟子の興味により、アテネで一番の知者が自分自身である、と巫女を通じて神の預言として授けられたことを間接的に知ることになりました。

その預言を聞いたソクラテスは、そのお告げの意味を解明するため、賢者とされる人や高名な人を尋ね歩きました。

その結果、全ての人は「何も知らないのに知っていると思い込んでいる」ということにソクラテスは気づき、やはり一番の知者は自分かもしれないと思うのです。

なぜなら、知らないということをわかっているという点が、知恵のある者だからです。


僕自身で置き換えると、自分の弱さをちゃんと気づいている部分が、自分の強さだなと思います。

自分自身は、炊事、洗濯など女性ができる家事や料理が全然ダメで、妻がいないと生きていけません。

また治療者としても、不全な部分を自覚し、心理士、受付スタッフがいないと診療できません。

患者さんの在宅上のサポートの弱さを自覚し、当院の上階に訪問看護ステーションを招聘してサポートしてもらわないと、僕にとっての精神科の診療はできません。


また、クリニックの運営とか事務部門が僕は非常に苦手で、事務長に助けてもらわないと運営できません。

その他にも諸々、自分の弱さを補強していくために多くの人に積極的に「助けて~」と、鬼滅の刃の我妻善逸なみに周囲に訴えかけて、周囲に助けてもらう体制が段々と形になってきているところです。


その起点は、僕自身が自分の弱さや限界に気づいていることだと思います。

僕は一人では生きていけません。

妻がいないと、事務長がいないと、当院のスタッフがいないと・・・ダメなんです。


これからも、どうか皆さま、僕を見捨てずに助けてください。

そして周囲の皆様に助けてもらって、日々、どうにか病み気味で何とか踏みとどまっている自分が、今日も治療者の恰好をして何とか診療していこうと思っている日々なんです。


自分のこの弱さを大切にして『今日も、たくさん周囲の人に依存して生きていくぞ~』と、鬼滅の刃の我妻善逸をみて余計にそう思いました。


2020年12月3日木曜日

治療的だと思ったのなら、介入しない方がダメ!

 診察を通して、患者さん自身が、新たな価値観や思考が発生していくことの手助けをすることが治療だと思っています。

そういった意味で、日々できるだけ治療的な関わりをしていくことを心がけています。  


ブリーフセラピーの日本の創始者である長谷川啓三先生が「セラピーとは、泣いて来たクライエントを笑って帰すことです。」と非常にわかりやすい説明をされておられます。

僕自身、そうしたことを目標にしつつ、患者さんに関わろうとしていますが、残念ながら、失敗の連続です。


でも、患者さんの診察での介入の中で、99敗1勝でもいいから、その1勝のアプローチを契機に、患者さんの中で何か治療的な転換点が生まれることが大切だと思っています。

だからこそ、失敗を恐れないで(できれば、ドクターXの大門未知子のように、「私、失敗しないので!」と言いたいところなんですけど。)誠実に、治療的に関わっていきたい。

患者さんに治療的だと思ったのなら、まず、それを信じて介入していく。失敗したと思ったら、すぐに修正、変更していく。


これを繰り返していく、その柔軟性を大切にして、これからも勇気を出して、治療的に関わっていく努力を続けていきたい。

それが、僕の治療者としてのスタンスです。