2023年5月31日水曜日

金剛山からの金言①


 今年のGWは、大阪の最高峰「金剛山」に登山に行ってきました。約6年ぶりの金剛山でしたが、前回はあまり気にもかけないで、通り過ぎていた場所が今回は気になりました。金剛山の山頂付近にある「夫婦杉」という杉の大木が、二本並んだ巨木です。そのすぐ下に石碑があり、そこに書いてある内容は、

「夫婦 20代は愛で、30代は努力で、40代は我慢で、50代は諦めで、60代は信頼で、70代は感謝で、80代は一心同体で、そしてそれからは、空気のようなふれ愛で」 

 夫婦のありようとして、その年代、その年月の見通しを知っておくのは大切だと思ったので、共有しておきたいと思います。登山者には、各々にいろんな想いを持って登山されていると思いますし、こうした金言も各々受けとめ方も色々だと思います。

 僕は、毎日通勤で金剛山をあびこ大橋からみています。金剛山の山頂には、夫婦杉があり、そこにはこうした金言が書いてあることを覚えておこうと思います。

 僕は、40代ですので、夫婦でお互いに我慢しているのでしょうね~。僕の両親は、70代ですので両親はお互いに信頼、感謝、空気のようなふれ愛になっている関係性だと思います。心身を健康に保って、そこを目指していきたいと思ったGWでした。


2023年5月24日水曜日

元気があれば何でもできる!知識があれば、意識化できる!1.2.3だ~!

 僕は、2週間に1回程度、5時間ほど、診察の指導を個人で受けています。また、暇さえあれば精神科領域(心理学領域も含む)の本を読んだり、そうしたことを考えています。いわゆる、精神科領域の「診察オタク」なんだと思います。結構、ずっと、こうした領域のことを学ぶことができるんです。そして、知識が増えたりしていくことで、意識化できて、いい支援ができるようになる。でも、うまくいかないことで、ちょっと天狗になりかけた鼻っ柱を折られることが繰り返されます。そして、そこから学び、知識を入れて、意識していく。人の意識は5%くらいで、無意識領域は95%らしいです。たくさん忘れたり、失敗することも多いですけど、できるだけ知識を増やして、意識を増やして、少しでも治療的な支援者になれるように、そうして得た知識や経験を、還元できるようにしていければと考えております。

 

2023年5月17日水曜日

葛藤、抑圧について

  精神科医になった頃、すぐに学ぶ心理学用語に「葛藤」という用語があります。「葛藤」とは、 人と人が互いに譲らず対立し、いがみ合うなどの本人と他者との間で生じることや、心の中に相反する動機・欲求・感情などが存在し、そのいずれをとるか迷うことといった、自分自身の心の中で生じるものがあります。こうした心に葛藤が生じやすい人は、容易に相手の心理状態に影響される。自分の心の中に安定した世界があれば、そう簡単に相手の心理状態に影響されるということもない。やはり愛着という根源的なものが、葛藤に影響を与えやすいのだと思いました。

 心の中のインナーチャイルド(*下記に詳細は説明しておきます。)な部分に対して、これまで過度な「抑圧」をしてきたりして、結果、自分の心の中のインナーチャイルドの部分が、不安定になりやすい。やっぱり、抑うつ状態とか情緒不安定とか不安症状の背景には、「葛藤状態」があって、その根源には、愛着の影響が結構あるのだろうと自分なりに思いました。精神疾患の根源には、愛着障害(トラウマを含む)、発達障害が、基盤に存在しやすく、幼少から大人になるまでに「葛藤」や「抑圧」をしてきた部分が影響している部分が大きい。そこを診察やカウンセリングなどを通じて、少しでも楽にさせるサポートをしていきたいです。 

インナーチャイルドについての説明;

 インナーチャイルドという概念は、アダルトチルドレンの人達の回復サポートとして考えられたものです。アダルトチルドレンの人達は、幼少期、問題のある環境で育ったためにインナーチャイルドが傷ついてしまい、大人になってからもその傷が癒されずにいるために生きづらさを抱えていると言われています。

インナーチャイルドというのは、私達の心の中の、生まれた時から備わっている先天的な領域のことを言います。感情、感覚、本来のその人 などの役割を担う領域で、生まれたときから備わっている心の領域なので、その人そのものとも言える領域です。

 一方、インナーアダルトは生まれてから今までの間に学び、身に付けた後天的な領域です。知識、思考、そこからくる判断など一般常識、学校などで学んだ学問、仕事のスキルなど生活に必要な全ての知識、そしてそこからくる思考の領域です。

問題を抱えている家庭を機能不全家庭といいますが、そういった環境の中にいる子供は、自由に伸び伸びと自分らしさを表現することができません。

家庭の中に暴力があったり、愛されている実感がなかったりすると、自分らしさを表現するよりも、怒られないように、危険が及ばないように、または少しでも親の意に添うようになど、絶えずビクビクしている状況になります。

機能不全家庭の中で生き延びていけるようにインナーアダルトの思考は形作られていくので、親の言う通りに生きる方法を選び、人によっては親に反抗する方法を選ぶでしょう。

 いずれにしても、インナーチャイルドの自然な要求は退けられることになり、傷ついてしまうのです。インナーチャイルドは、絶えず抑え込まれ、本当のその人らしさは封じこめられてしまいます。 子供の頃、愛情を受け伸び伸びと生活することができなかったために、インナーチャイルドは傷つき、癒されないまま、常に悲しさや寂しさ、そこからくる怒りなどがあります。インナーチャイルドが傷つくことにより、心が健全な大人へと成長していくことが困難になります。また、インナーチャイルドは、本来のその人そのものなので、傷ついていると、その人は本来の能力を発揮することができません。つまり、アダルトチルドレンの人たちの生きづらさの原因は、インナーチャイルドの傷が癒されていないことにあります。

~インナーチャイルドを癒すとは~

 傷ついたインナーチャイルドを癒すことによって、アダルトチルドレンの生きづらさから回復することができます。

それはインナーチャイルドとの絆を回復するというプロセスをたどるものになります。

もともと、インナーチャイルドは本来の自分です。

しかし、過酷な環境の中で、その本来の自分を押さえつけて生きてきました。

そのためにインナーチャイルドが本当は何を感じているのか、どんな感情を持っているのかが分からなくなってしまっているのです。

「本当の自分が分からない」など、アダルトチルドレンの人達はこのような言葉を発することがよくあります。

インナーチャイルドと向き合い、深層心理を客観的に理解していくことが大事です。

こうした試み全般を「インナーチャイルドを癒す」と表現します。

癒しの作業は、一朝一夕で完了しません。

以下のような試みを継続的に受けることが効果的です。

・癒す1:傾向を自覚する

 まずは、自分の行動や思考を振り返っていきましょう。

 アダルトチルドレンの傾向があるかどうかをチェックしてみます。

 主なものには、自己否定感や対人不安、または傷つきやすさなどが挙げられます。

・癒す2:傷ついたインナーチャイルドの感情、感覚にアクセスする

 何に傷ついているのかがわからないと、どのように癒してよいのかがわかりません。

 本当はどうして欲しかったのか、何が辛かったのか、インナーチャイルドが抱えている寂しさ、悲しさ、怒りなどを探ります。

・癒す3:負の感情を出し切る

 感情を抑圧することでインナーチャイルドは生まれ、ますます傷ついていきます。

 当人がインナーチャイルドを客観視できるようになったところで、抑圧されていた感情を出し切ることが大事です。

 カウンセラーなどとの対話によってトラウマを吐き出していくのもひとつの方法です。

 感情表現が苦手な人は、自分の境遇と似た映画やドラマを鑑賞してみるのもいいでしょう。

 これらの方法で感情を解放させるとインナーチャイルドは癒され、本当の自分になれる可能性が高まります。

・癒す4:健全なインナーアダルトを育てる

 アダルトチルドレンの人たちが大人になっても生きづらさを抱えているのは、インナーアダルトが間違った思考パターンを持っているからです。

 既に自立し、自分で環境を選ぶこともでき、誰からも虐待を受けていないにも関わらず、アダルトチルドレンの生き方を続けているのは、インナーアダルトが自分を幸せにできる方法を学ぶ機会が無かったからです。間違った思考パターンを持ったインナーアダルトは、絶えずインナーチャイルドを押さえつけ、インナーチャイルドの声を聞こうとしません。

それは、とても勿体ないことです。

なぜならば、インナーチャイルドは本来の自分ですし、そこにこそ、その人らしさがあるからです。

健全なインナーアダルトを育成し、インナーチャイルドとのコミュニケーションを回復することで、生きづらさから脱することができます。

インナーチャイルドを癒せるのは、その人の中のインナーアダルトなのです。

・癒す5:インナーチャイルドとの絆を回復するステップを踏む

 インナーチャイルドを癒すというのはこの一連のステップを順番に踏んでいくものです。

 

~インナーチャイルドを癒すメリット~

① 考え方が柔軟になる

 傷ついたインナーチャイルドは、本人の行動パターンに大きな影響を与えます。

 無自覚のうちに、人間関係を構築したり、将来に希望を持ったりすることができなかった 人も珍しくありません。

 しかし、インナーチャイルドが癒されると思考回路が柔軟になります。

 「こうしなければならない」「どうせ自分はこういう人間だ」といった思い込みから解放されるので、チャレンジ精神が芽生えます。

新しいことに挑戦するハードルが下がり、前向きに物事へぶつかれるようになるでしょう。

② 憎悪が消えて楽になる

 家族への憎悪がインナーチャイルドを育ててしまったケースもたくさんあります。

 幼いころ、親から十分な愛情を受けられなかった場合、大人になっても精神的に成長しにくいといえます。

 他人に愛情を求めすぎてしまうか、最初から何も求めないとかで、人間関係を壊してしまいがちなのです。

 ただ、インナーチャイルドが癒されれば、家族への憎悪も薄まっていきます。

 逆に、家族からしてもらった良いことも思い出せて、愛情が芽生える可能性すら出てくるのです。

 憎悪から解放されると心は楽になり、恋人や友人を作る不安も消えていきます。

③ あきらめがつく

 インナーチャイルドが人生のモチベーションになっている人もいます。

 子どものころ、気持ちが満たされなかったからこそ、大人になって空白を埋めようとするパターンです。

 ただ、大人になってからの試みが必ずしもうまくいくとは限りません。

 また、子どものころに叶わなかったものが多いと、いつまでもたくさんの夢を追いかけなくてはならなくなってしまいます。

 そうやって、不可能な夢を追い続けていると、自分の能力を無駄にすることもありえます。

 インナーチャイルドを癒し、子どものころの渇望感に踏ん切りをつけるのも大事です。

 子どものころの夢が叶わなくても、大人になってから見つけた夢にチャレンジすればいいのです。

④ やりたいことに精一杯取り組める

 失敗や裏切りを第一に考えてしまうのは、インナーチャイルドが関係している恐れがあります。

 自己評価が低く、周りの目が気になっていると何事にも真剣に取り組めません。

 失敗しても傷つかないよう、無意識に力を抑えてしまうのです。

 

 インナーチャイルドが癒されると、自然に不安や恐怖から解放されて、活力がみなぎってきます。誰の視線も気にせず、やりたいことを好きなだけ取り組めるようになります。


【まとめ】

 インナーチャイルドを消し去ろうとしたり、否定したりする必要はありません。

 自分の一部だと受け入れたうえで、「癒す」方向で考えてみましょう。

 インナーチャイルドの傷が回復すれば、思考や行動を制限していた感情から解放されます。

 そして、何事にも活力を持って取り組めます。

 そのためには、客観的な視点を持って自分自身の心と向き合うことが大切です。

2023年5月10日水曜日

講演会が無事に終わりました!

422日(土)に、当院主催の講演会「発達障害のリアルな理解と支援」を無事にできました。午前と午後で、全体で約100人の方(当事者、そのご家族、放課後児童デイや教師、行政などの支援者等)に参加していただき、GW前の貴重な週末で、かつ有料(参加費2千円)にも関わらず、です。参加していただき、主催者として大変有り難かったです。当院のホームページに記載しているように、患者さん、そのご家族に加えて地域の方々、支援者の後方支援としての役割を果たしたいと思っていたので、やっと5年ぶりに講演会を開催できて良かったです。

また、継続的に支援していくことが大事だと思っていますので、今後も不定期ですけど、講演会を開催していきたいと思っています。次回の講演会なども決まったら、ホームページや当院の掲示板などでお知らせいたします。

 この場を借りて、講演をしてくれた当院の顧問カウンセラーの上野さん、講演会をサポートしてくれた当院のスタッフたち、児童精神科の訪問看護スタッフたち、住吉区で不登校支援を日ごろからされている、フリースクールの松下さん、講演会場を無料提供していただいた放課後児童デイの代表の上田さんなどなど、多くの方に、支えられていることを実感できて嬉しかったです。これからも、頑張りたいと思いますので、これからも何卒力を貸してください。「ありがとう~!!!」そして、今後も継続的に開催していきます!






2023年5月3日水曜日

僕自身を支えてくれた言葉

今回は、僕が、これまでに支えになった言葉の数々を並べてみたいと思います。

・高校3年の懇談の際に、学年最下位レベルの成績を誇った僕が、意を決して「医学部に入りたい」と先生に相談しましたが、すぐさま担任から「無理です」と返答され、気まずくなった雰囲気の中で、担任が最後に言った言葉「作田君は、どういう状態になっても生きていける強さがあるから大丈夫」みたいなことを言われて、当時は、別に心に残っていませんでした。その後、3浪して医学部に合格するまで、僕は、毎年受験に失敗し、毎年死にたいくらい落ち込んだ時に、その言葉が、僕に安心を届けてくれたように思います。

・毎年、大学受験に落ち続けて、落ちて死にそうな表情の僕に、父が励ましてくれた言葉「30歳までにやりたいことをみつけていければいい。」若い頃の失敗は、未来が閉ざされたような暗闇の中で、お先真っ暗状態の僕にとって、自分の将来をもう少し余裕をもって見られるようになり、何とか29歳で精神科医になれて、30歳までに間に合いました~。

・毎年受験に落ち続けて、死にそうになった僕に、母が励ましてくれた言葉、「やっちゃん(僕の名前です)は、いつもユーモアがあって、周りを明るくさせてくれたり、いい高校に入って、どれだけ親を楽しませてくれたり、誇らしい気持ちにさせてくれたか~・・・」と母は泣きながら、寝込んで、死にそうな顔をしている僕に、僕のいいところをたくさん褒めちぎって、仕事に出勤していきました。ちょっと、その時は、もしかしたら、僕が自殺しちゃうんじゃないか?という位、母は心配していたんだと思います。母が、たくさん褒めてくれて、僕の心は、少しずつ元気になって1年後に合格できました。

・児童精神科医になって、若い頃、勉強会にいって、実家に帰って、子育てのことで学んだことを母に話したら、母は、「子育って、子どもに愛情を持って関わったんなら、何が正しいとか間違っているとか関係ないと思うわ。」と僕の学んできたことを一蹴されたような気持ちに当時はなりましたが、今となっては、本当にそうだなと思います。子どものことを本当に思って、愛情を持って関わったのなら、全て大事に扱わないといけないと思います。

・僕の子どもへの関わりをみて、母が僕を一喝した言葉「子育ては、子どもの背中に、親は黙ってついていくもんやで、黙って子どもの背中についていってあげなさい!」僕は「はい!」な感じです。実際、僕の両親は、これまで、いつも子どもの背中に、黙ってついてきてくれました。子どもを追い越して、頭ごなしで否定されたり、勉強しなさいとかも言われたことがありません。そのため、とても説得力のある言葉でした。