2020年10月1日木曜日

最近の僕の患者さんを診療する上で大事な座標軸

 多くの病気を診療していく上で必要なことの一つとして 「生物学的」ー「心理学的」ー「社会的」な観点がよくあげられます。
僕の専門としている精神疾患は特に、この観点でみていく必要があります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い日本だけでなく、世界中の社会的・経済的影響と今後の変化もまた、多くの人のストレスや病気の要因の一つになるのではないでしょうか。
コロナ渦で「自粛警察」というワードもメディアで頻繁に報じられていましたが、同調圧力というものがより顕在化されました。

ただ、そんな日本でも少しづつではありますが多様性を認める社会にもなりつつあると感じています。

精神科領域においても、今ほど心療内科のクリニックが市中になかった時代に比べると、良くも悪くも様々な精神疾患が身近なものになり、精神疾患であると診断されたとしても、社会の理解も以前よりは深まってきているように思います。

しかしその反面、症状が軽度な場合、明らかな症状として浮かび上がりにくくなり、診断されることがなく、本人は気づかないまま、色々な不適応体験をされてからクリニックに来られる患者さんがよくおられます。
診察室での説明で、診断されにくいタイプの精神疾患の特性であることに気づくことができ、本人自身も「どうりで生きにくかったわけだ」と自己理解し、納得されるということもよくあります。
まだまだ精神科の領域は、こうした軽症の患者さんを見極める知識や経験に、なかなか追いついていないんだと思います。

僕は、「ASD」「ADHD」「HSP」という3つの座標軸で患者さんを診ておく視点の重要性を最近は感じています。
多くの軽度発達障害の方や、HSPなどの過敏さが高い人のしんどさに気づけるようになっていかないといけないなと思っている今日この頃です。