僕は外来で、よくことわざや標語などを引用した心理教育をすることがあります。
しかし、「早寝早起き朝ご飯」という国民運動は、間違っていると言いたい!
その理由は、まず朝起きて脳が目覚めます。
そして、朝食を食べることにより、腹時計と脳の時計が同期します。
その後、16時間後に眠くなる体内時計がセットされるため早寝になる、という流れです。
そのため、早起き → 朝ご飯 → 早寝 の順番になります。
つまり、この国民運動推進の影響なのか?『早く寝ようとして、なかなか寝れません』『起きる時間がバラバラ』だったり、『朝ごはんは食べません』などを認めると、睡眠はフリーラン化して乱れて寝れないになります。
『「早起き朝ご飯早寝!」に変更して欲しい~』と願う、今日この頃の僕でした。
2022年11月16日水曜日
「早寝早起き朝ごはん」は間違っていると言いたい!
2022年11月9日水曜日
アロマザリングの重要性
近年、虐待などがニュースで扱われないことがないですよね。
その度に、親の責任論が取り沙汰されている気がします。
母親の子育てに対する不安やストレスが膨らむ中、近年の核家族化や近隣との付き合いの希薄化により、煩わしいと思うような人間関係を無くす事との引き換えに、寂しさや孤立感を手に入れ母親たちは自分の子育てを振り返る機会を失い1人で苦悩することが増えている気がします。
しかし、人は生まれてから自立していくまでに、とても時間がかかる動物です。
そのため古来より、母親以外の人が子どもの世話を引き受けることを意味する「アロマザリング」によって、母親の負担を軽減し子どもの成長を育んできました。
昔から我々人類にとって「アロマザリング」はなくてはならないものでした。
同時に「アロマザリング」は、子どもの社会性の発達や、世話をする側が若い場合は子育ての学習という意味でも、極めて重要なものとなります。
つまり「アロマザリング」を介した母と子とその周囲の互恵的な関係をベースに、人は家族や社会を営んできたといえます。
それが、欧米文化や子育ての精神が輸入されたことを契機に、アロマザリングを活用した子育てが成立しにくくなり、母親のみに子育ての負担を負わせるケースが増えるようになります。
このような状況にあって、当の母親たちも「母親の役割」に対する意識を強めていくわけですが、イギリスのジョン・ボウルビィが発表した「アタッチメント理論」も、それに影響を与えていたと思います。
「アタッチメント理論」の基本的な考え方は、子どもには母性的人物への「くっつき(attachment)」を求める性質があり、それによって子どもは守られるというものですが、その理解にはいくつか注意が必要です。
まず、子どもが求める相手は必ずしも母親ではないこと。
また、親と子ども双方の互いに対するネガティブな情動を見落としがちであるということ。
そして、この理論がイギリスの個人主義的な育児風土で生まれたということです。
ところがこの後、当時の社会状況や日本の伝統的な母性観の上に、母親が愛情を尽くすことで子どもが健全に育つという認識が過剰に日本に広がってしまったのです。
「ニート」や「引きこもり」といった問題を抱える子どもあるいは若者の存在も「アロマザリング」と、それによる母子が適切に離れる時間が減ってしまったことと無関係ではないでしょう。
母親たち自身が今までの「母親の役割」にとらわれたままでは何も変わりません。
人は、赤ん坊の時から周囲の人々と関わる能力を備えています。
一方で、「アロマザリング」を可能にする子育てのネットワークを地域で再構築していくことも必要です。
あくまで母親はそのネットワークの一環であり、子どもは周りの人々との関係の中で健全に育つのです。
特に、発達障害を抱えた育児は、母親が抱えすぎてはいけません。
多くの使えるネットワーク(療育、放課後児童デイ、ショートステイ、学校などの教育関係者、福祉、医療機関、児童相談所などなど)を利用して欲しい。
幼少で発達障害と診断した際には、親御さんには「あなたの子ども」という認識から、「社会の子ども」だと思ってくださいと説明したりもします。
大人が育児や悩みを抱えている様を、子どもが学習すると、子どもも誰かに「助けて」と援助希求できない子供になってしまうこともあります。
その延長上に、ひきこもりやニートなど、自分で悩みを抱える症候群の連鎖が生じてしまいます。
どうか、大人も、しんどい時には1人で抱え込まないで「助けて~」と、フラッグを立ててください。
それぞれができる支援は確かに少ないですけど、支援も「3人寄れば文殊の知恵」的に、集まれば何とかなる気がしてきます。
当院も、その一部になれるようにと思って日々頑張っています!
2022年11月2日水曜日
愛着スタイルについて
アメリカの女性心理学者メアリー・エインズワースの分類によると、幼児期の子どもの愛着パターンは「安定型」「回避型」「抵抗/両価型」「混乱型」の4つに分類されています。
全体の6割程度は「安定型」の愛着パターンを呈します。
「安定型」は、1歳の乳児期の頃に母親から離されると泣いたり不安を示しますが、母親が現れると素直に再会を喜び、母親に抱かれようとします。
母親が安全基地としてうまく機能しており、ストレスを感じた際に適度な愛着行動を起こすパターンです。
「回避型」は、全体の1.5~2割程度で、幼児の頃に母親から引き離されてもほとんど無反応で、また、母親と再会しても応答が乏しいパターンです。
母親とのつながりが薄いケースに多いです。
全体の1割は「抵抗/両価型」は、母親から離されると激しく泣いて不安を示しますが、母親との再会で、母が抱き着こうとすると、それを嫌がします。
でも、一旦くっつくと離れようとしません。
これは、赤ちゃんの心の中の母親の安全基地が不安定で、親が構ってくれるときと、無関心なときの差が大きい場合や、神経質で厳しく過干渉な親の場合が多いです。
このパターンの子は、将来の不安障害のリスクが高く、また、いじめ被害にあいやすいとされています。
残りの1割程度は「混乱型」で、「回避型」と「抵抗型」が混じった「無秩序パターン」。
全く無反応と思ったら、激しく泣いたり怒りを表したりします。
親からの攻撃に恐れる反応を呈したり、逆に親を突然叩いたりすることもあります。
虐待を受けているような精神状態が、ひどく不安定な親の子どもにみられやく、親という安全基地が、逆に危険な場所となることで混乱パターンとなります。
親の行動が予測不可能なために、子どもの行動も無秩序なものになっています。
僕自身は、とても優しい母親と、ユーモアたっぷりで働き者の父親に養育されて、経済的には、中流家庭で、よい家庭環境で養育されたと思います。
そのため、愛着パターンは「安定型」に分類されると思います。
みなさんは、どのパターンに入るでしょうか?
2022年10月26日水曜日
自閉スペクトラム症と愛着スペクトラム症
この10年程度診療する中で、複雑化、長期化、慢性化する精神疾患の背景に、自閉スペクトラム症(ASD)が背景にあることを意識し、そこの知識や支援を念頭に置くことで、適切な支援がみつかることが多いと感じ学んできました。
その上で、難治的、通常の治療の枠組みでは、なかなか改善しにくい傾向のある患者さんの多くに、愛着スペクトラム症が併存していることが多いことが分かってきました。
ここでいう、愛着スペクトラム症とは、はっきりとした虐待を受けてきたなどというよりも、子ども時代に、主に母親との関係性を通しての、心の安全基地が育まれなかった状態で現在に至っていることをいいます。
精神医療では、愛着や愛着障害が種々の精神疾患の成因や回復において、どれほど大きな役割を果たしているかということに十分な認識や対処の術をもっていないのが現状だと思います。
僕は、児童精神科、精神科を標榜し、毎日2歳から80歳までの老若男女の診察をしているうえで、不安定な愛着スタイルの影響が、その後の人生に大きく影響しているということを感じています。
ベースに、愛着スペクトラム症の影響の有無を念頭に、当院でできることを考えていきたいと思っています。
2022年10月19日水曜日
見守ることが大切!
当院では、たくさんの観葉植物を育てています。
当院が『ちょっとでもオアシス的になればいいなぁ~』と願いを込めて、ジャングル化を目指しています。
でも、定期的に枯らしてしまいます。
水やりでも、水が無くなって土が乾燥してくると、それで根が伸びて植物は強く、たくましく生きていくから葉っぱが丸くなったりしてから、水をあげるなど、ちょっとスパルタ的にして育ててくださいと、地元の観葉植物やさんに指導を受けたりします。
でも、乾燥して枯れてしまうのが怖くて、どうしても水を早め早めにあげちゃいます。
見守って、しんどくなってから手を差し伸べる。
その見守ることが大切なのは、わかっているけど、なかなかできない。
『子育てと、植物を育てるのも似ているなぁ~』と思います。
でも、こうして定期的に観葉植物屋さんに指導されて、見直して、また失敗しちゃうを繰り返して、最近は枯れることは減ってきています。
「見守る」ことを大事にしつつも、でも、やっぱり早めに水をあげちゃうけど、愛情を持って、育てていきたいと思っている今日この頃です。
2022年10月12日水曜日
70歳台で人生が決まる!
当院は、2歳頃から80歳台の老若男女の方が受診に来られます。
児童精神科、精神科を自分が担っていることによって否応なく『人生とは』と自問自答をし続けるような感覚となったりします。
その際に、70歳頃に人としての生き方が決まっていくように思います。
70歳になると、もうどんなに頑張っても、若くないし、もう死を意識していく段階に入ります。
誰もが必ず迎える「死」というゴールに向けての目標は、僕は「納得」だと思います。
自分らしく頑張ったとか、自分らしく、つらいこともあったけど楽しめたとか。
この自己満足「納得」を得るためには、なるべくペルソナ(社会的仮面)が少ない方がいいし、できるだけ他者から『どう思われるか?』ではなく、自分からみて『納得いくか』の方がいい。
70歳台になったら、どんな人でも色々足りないものが出てくると思います。
そこをフォーカスして『ないない~』と嘆くのか、『まだ、こういうことも出来る』と出来るところをフォーカスして生活できるのか?
それは、それまでの生き方の集大成になってくるのだろうと思います。
必ず『死』というゴールが来るから、心配しなくても『人生はあっという間』各々に残された人生を大切に、能動的に、主体的に生きていく。
そのサポートができるようなお手伝いができればと思っています。
2022年10月5日水曜日
綾小路きみまろさんの "SDGs"
最近よく耳にする「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連加盟国が2030年までの達成を目指す17の目標を掲げたグローバル・プロジェクトで、貧困をなくそうとか、環境に優しいクリーンエネルギーを普及させようとか、いずれも無理のない範囲で改善していきましょう、という内容です。
その「SDGs」ついて、唯一無二の漫談家 綾小路きみまろさんが熟年夫婦のネタにしていた内容がすごく印象に残ったので、そのまま記載します。
夫婦関係にも「SDGs」のような、暗黙の改善目標みたいなものがある。
夫婦の「SDGs」です。
夫婦の「SDGs」とは、相互の欠点として気になるところは目をつむって、お互いが心地よく過ごせるように努力するのです。
お互いに向き合うと、嫌なところは目をそらそうにも視界に入ってきますから、なるべく向き合わないで、隣に並んで同じ景色を眺めるのです。
お互いに嫌なところがあっても、感謝の気持ちがあれば、根っこの部分で夫婦はちゃんと繋がっているもの。
お互い「ありがとう」の気持ちを忘れず S(少しの)D(ダメは)G(我慢する)を目標に共生していく。
そんな気持ちでいると、夫婦関係は波風が立たず平穏無事にやっていけると思いますが、みなさまいかがでしょうか?