2025年10月29日水曜日

自己万能感と自己肯定感の違いについて

  自閉スペクトラムの特性の本質は、内なる他人が弱いことにあります。そのため、自己万能感(幼児的万能感)を保持しやすいのです。もちろん、知的障害を持っている人も、幼児心性を保持しやすくなるので、幼児的な万能感を、保持しやすいのです。自己万能感とは「自分は特別な人間である」「自分は、なんでもできる」という幼児的な自信に満ちた感覚のことを言います。

 僕自身は、ADHDの特性があり、年齢に比して精神年齢は幼く、また、大人になったら、ヒーローになれる。そうした感覚は、小6の頃まで持っていたと思います。そして、そのヒーローになりたい欲求が、医師になるという現実的な目標に変化していったのだと思うので、自己万能感は、決して悪いものではありません。しかし、自己万能感があるからこそ、現実の自己評価を受け入れられずに、心の葛藤が高まり、うつや不安などの精神症状を引き起こしたりもするので注意が必要です。

 また、自己万能感と似て非なるものに「自己肯定感」があります。「自己肯定感」とは、「このままの自分でいいんだ」と自分をそのまま認める気持ちです。アナ雪のエルサの「Let it Go~ありのままで~」の世界観が、非常に自己肯定感の重要性を表現されていると思います。自己肯定感が適正に保持していれば、誰かに否定的に言われたり、否定的な評価をされたりしても、自己の存在を否定するまでに凹んだりはせずに、前向きに捉えることがしやすくなります。また、自分自身を過度に責めたりすることからも、早期に抜け出すことが可能となりやすく、精神疾患になりにくく、かつ、社会適応を良好にするために、とても重要なものといえます。日本の思春期年代の子どもを取り巻く環境は、自己肯定感が下げやすいので、そこを気を付けていきましょう。

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