2023年8月23日水曜日

厳しく育てても、強い子にはならない

  親としての役割は、子どもにとっての安全基地になってあげることがとても重要です。児童の診療をしている際に、困った時に誰か支えになる人はいる?と、こちらが聞いたときに「・・・いません。」と思い浮かばない人が、実は結構多いのです。また、親はあなたにとって、安心できる存在?緊張する存在?ここで、緊張する存在と言われることも結構あります。

 親が子育ての際に、子どもが10歳から18歳の間で、安全基地になることが、その後の本人の強さ、成長に関与していきます。乳幼児期・児童期に、厳しく、叱咤激励しても、強い子には、育たないということは科学的に立証されています。

 できるだけ、トラウマを抱えないで児童期を過ごしてもらいたい。そのために、その子の養育環境・社会環境を少しでも好ましい環境を作ってあげたい。発達障害傾向のある児童の子育ては、物心つくのは、15歳から18歳頃だと思ってください。そこまでは、できるだけ、甘々な対応だと言われようが、本人を尊重する関わりでいって欲しいのです。15歳から18歳頃に、物心がついてきて、本人の主体性がしっかり上昇してきたら、親は厳しくしてよいと思います。その反対で、10歳から18歳頃に、親サイドが、子どもに「発達障害を言い訳にするな。」とか、「このままじゃ、社会で通用しないぞ。」と危機感を物心つくまでに与えても、子どもは、緊張が高まりやすく、ストレスに対して脆弱性を高めてしまうだけになる。その後に、物心ついてきて、子どもの反発に、親が勝てなくなってから、親が子どもに対して甘々になっていくというのが、一番避けたい子育てになるのです。

特に、発達障害傾向のある子どもを持ったら、心理的に親は、子どもを1人の人間として、尊重した距離感を大事にして欲しい。そうしたら、命令・説教ではなく、ちゃんと説明や同意などを意識できるはずです。それを幼少から物心つく年代(思春期年代)で、意識していけたら、親としての役割や我々支援者の役割のおおかたは達成したものと思っています。