2021年11月3日水曜日

苦手克服は物心がつく中学2以降から

 児童精神科医で有名な本田秀夫先生は、「自閉症スペクトラム」という自身の著書のなかで、発達障害の子が苦手なことを克服するタイミングについて、苦手克服をしていこうという本人自身のモチベーションが生まれて、自分と支援者との間で合意形成をして、苦手克服の特訓をしていくことが大事だと述べています。
そのために必要なことが、発達障害を抱えたお子さんの物心がついているかどうかが大事だと言われ、その物心がつく年齢の目安が、思春期年代、つまり中学生年代以降ということのようです。

つまり、発達障害の児童の周囲の支援としては、物心がつくまでは、ある程度甘々で対応し、本人の自尊心をしっかり育んでいくことを大事にしていく。
そして、発達障害の児童の多くが、物心つく年代の中学2年以降(これは、僕自身の推測年代的理解でもあります。)で、苦手なことも特訓していきたいと、本人自身の中で自発的になってきたら、周囲の支援者らは、そこで厳しく関わるという順番が大事だということになると思います。

発達障害の理解が不十分だと、
 ・本人が物心をつく思春期年代までに、本人の特性を変えようと厳しく接する。
  ⇒・本児は変われないことで、本人の自尊心は低下していく。
   ⇒・やがて親自身も、そうした厳しく接しても変化が生じないことで無力感を感じ、自分の育児に対して自責的になる。
    ⇒・子どもが思春期を迎えた頃には、親は諦めの境地となり、対応が甘々になっていく。
という、本田先生のいう理想的な養育の反対になってしまいます。

発達障害の成長は、あと伸びです。
大器晩成ということわざは、発達障害の子のためにあると思っています。
発達障害の児童の成長の、あと伸びの伸び幅を規定しているのは、その子が思春期年代を迎えた時の、物心つくまでの間に、どれだけ周囲から受容的に関わってもらえたかが重要になります。

そのために、「発達障害は、早期発見、早期受容!」が大事になってくると考えていますし、発達障害の実践的な知識が普及していくように切に願っています。

おススメの本は、
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『自閉症スペクトラム
 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』
(SB新書)著者:本田 秀夫
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です。

この本をたくさんの親御さんや学校の先生や支援者が読んで、自閉症スペクトラムについて理解が促進し、適切なサポートが普及していくといいな~と思っています。

ちなみに、僕自身は、自分のことを、純粋なADHDタイプだと思っています。
僕の母親は、喜怒哀楽の『怒り』という感情がほとんどないのか?僕は、母親に怒られた記憶がありません。
勉強しろと言われたこともありません。
好きなことを好きなようにやらせてくれて感謝です。
僕が万引きをした時も、学校を停学処分になった時も、母は、僕のことを心配はしましたが、怒りはしませんでした。
それでも、一応、こうして医者になれて、それなりに生きれています。
もちろん、自分のできていない部分は多く、それで妻や家族や当院のスタッフには、感謝しております。
養育に叱咤激励はなくても、自尊心を育んで主体的に生きていける「自律」のサポート。
これだけで、養育って、結構いけるんじゃないか?と思っています。