2025年11月19日水曜日

僕が、医者にあこがれた理由

 僕は、幼少から、ヒーローに憧れていました。現実の僕は、小学生時代、サッカーをしていましたが、特に、そこまでうまいわけでもなく、いつもレギュラーを奪われるのではないか?と内心、怯えていました。勉強も、そんなにできるわけではなく、周りよりは、少しだけできる程度でした。自分に自信もなく、気も弱く、でも、自己万能感は結構ありました。いじられキャラで、ちょっと、いじめられたりもありました。いつか、自分なりに力が欲しいと思って、アニメの世界のように、弱くても強く、たくましくなって、生きていくヒーローの姿に、自分を重ねていたのでしょう。それが、現実的なヒーローとして、憧れたのが、医師だったのです。

 念願の医師になっても、やっぱり、いじられキャラですし、気が弱いし、コンプレックスがたくさんあります。でも、そうした、自分に自信がない、コンプレックスがたくさんあることが、僕の強みになっている気がします。診察場面で、患者さんのしんどさや自信のなさ、コンプレックスに素直に共感できて、謙虚な姿勢で、日々診療できるメリットになります。自分の弱さを認めることができて、それが、強みになっているように思います。

 このまま弱いまま、皆様に助けてもらって、頑張れるヒーロー、そうだ!「アンパンマン」のように頑張りたいと思います。

2025年11月12日水曜日

先日、ユーチューブの収録に行きました

 昨年にひき続き、今年も9月に「堺市の子育ち支援」のユーチューブ講演の収録に行ってきました。今年、スピーチ上で気を付けたことは、なるべくフィラー(「え~」とか「あの~」などの会話のつなぎに使う言葉)を減らすこと。できるだけ、短く区切って、キーワードが残るように話すこと。通常の講演会よりは、0.8倍程度の速度で、ゆっくりと穏やかに話すことでした。

 1年に1回しかやらない収録なので、結果は、また、来年の2月に、当院のHPの「お知らせ」で告知するので、よければご視聴お願いします。自分の話している姿や声を聴くのは、正直、嫌です。自分が思っているより「いけてない」自分を直視させられているようで。でも、伸びしろが、たくさん見つかります。46歳ですが、伸びしろは結構あります。収録は、苦しかったですけど、やりがいを感じられて、結局は、「痛きもティ~!」かったです。

2025年11月5日水曜日

アイメッセージが大切!

 ここ数年、僕は、人に、ダメだしをされたり、上から物を言われたように感じると、すぐにイライラしやすい自分がいることに気づきました。そのくせ、自分は、気づかないで、誰かに上から物を言っているのに。そうされたら、被害的に感じるけど、自分が加害したとは思っていない。そこに、コミュニケーションのミスマッチが生じるのでしょう。

 例えば、「もっと早く、課題をしなさい!」といわれる。言われた本人にとっては、大事にしたいところがあったり、丁寧にしたいと思っている部分があるのに、頭ごなしに言われて、腹が立つ。できれば「もう少し、課題を早くできないか?と、僕は思うけど、君は、どう思う?」とI(アイ)メッセージで伝えてほしい。前者の言い方は、「お前は間違っている!俺の意見を聞け!」という否定的なメタファーを、受け手は感じて、怒りが生じるのです。後者の言い方は「君を僕は、大事に思っているし、尊重したいと思っている。」という肯定的なメタファーを感じるのです。そうしたメタファーを、僕は、長年、精神科医として働いてきて、鋭敏になっているのかもしれません。

 色々と勉強や経験を重ねて、身近な人に、思いやりを持って優しくなれるように修行していきたいと思います。正しいかどうかよりも、どう伝わるかを意識しないといけない時代に入ってきているので、そこを認識して学びを進めていきたいと思います。

2025年10月29日水曜日

自己万能感と自己肯定感の違いについて

  自閉スペクトラムの特性の本質は、内なる他人が弱いことにあります。そのため、自己万能感(幼児的万能感)を保持しやすいのです。もちろん、知的障害を持っている人も、幼児心性を保持しやすくなるので、幼児的な万能感を、保持しやすいのです。自己万能感とは「自分は特別な人間である」「自分は、なんでもできる」という幼児的な自信に満ちた感覚のことを言います。

 僕自身は、ADHDの特性があり、年齢に比して精神年齢は幼く、また、大人になったら、ヒーローになれる。そうした感覚は、小6の頃まで持っていたと思います。そして、そのヒーローになりたい欲求が、医師になるという現実的な目標に変化していったのだと思うので、自己万能感は、決して悪いものではありません。しかし、自己万能感があるからこそ、現実の自己評価を受け入れられずに、心の葛藤が高まり、うつや不安などの精神症状を引き起こしたりもするので注意が必要です。

 また、自己万能感と似て非なるものに「自己肯定感」があります。「自己肯定感」とは、「このままの自分でいいんだ」と自分をそのまま認める気持ちです。アナ雪のエルサの「Let it Go~ありのままで~」の世界観が、非常に自己肯定感の重要性を表現されていると思います。自己肯定感が適正に保持していれば、誰かに否定的に言われたり、否定的な評価をされたりしても、自己の存在を否定するまでに凹んだりはせずに、前向きに捉えることがしやすくなります。また、自分自身を過度に責めたりすることからも、早期に抜け出すことが可能となりやすく、精神疾患になりにくく、かつ、社会適応を良好にするために、とても重要なものといえます。日本の思春期年代の子どもを取り巻く環境は、自己肯定感が下げやすいので、そこを気を付けていきましょう。

2025年10月22日水曜日

オーバーロードには、休息が一番!

  僕は、大学時代は、夏休みとか大きな休みがあると、バックパッカーになり、1か月インドにいったり、アフリカに行ったりしました。帰国すると、家庭教師は、1か月不在だったせいで、首になりました。また、元の日常に戻っても、働く意欲が途絶えて、1か月程度バイトをしなくなりました。何か、現実感がないようなふわふわしたような感覚でした。ここは、日本?インド?なんか、まだインドにいた感覚がある感じでした。脳では、オーバーロードになっていたんだと思います。インドの1か月の生活で、たくさんの情報の処理が追い付かないような状態。そこで、茫然としながら、整理していく作業を脳内でしていたんでしょう。

 患者さんでも、両親が離婚して、母と子どもで転居してきたりすると、子どもは、一時的に無気力になったり、不登校になったりします。その時の理解は、僕は、自分が1か月インドとかアフリカに旅行に行って、帰国してきた経験を思い出します。しばらく、脳内はオーバーロードになっているから休養して、整理しているんだな~と、そのままにしておくことが重要だと思います。

 そこで、しない方がいい関わりは、「さぼるな」「学校にいけ」「宿題しろ、やるべきことをしろ」ですね。オーバーロードの脳に、過剰な緊張や、またこのままの俺じゃだめだと自責的になったりすると、ちゃんと休息したり、整理できないですからね。

 あるがままに受け容れて、本人なりの回復や整理を待つことができる支援をしたいと思っています。

2025年10月15日水曜日

子育ての安全基地の5条件

 診療場面で、どうしても、親が、子どもの前に心理的に立ってしまって、過干渉になりがちな親御さんをみることがあります。わかります。そういう心配な子どもだから、当院にも連れてきているんです。心配が先立ったり、不安感、不信感などから、子どもに過干渉気味になってしまうことは、ありますよね。

 ただ、親や支援者の大事な役割は、「よい安全基地」になることです。

そのために、必要な「よい安全基地の5条件」を共有しておきましょう。

1. 安全感を保証する。

2. 感受性(又は共感性)

3. 応答性

4. 安定性

5. 何でも話せる関係性

これらは、精神科医やカウンセラーなどの支援者にも共通している5条件ですね。

2025年10月8日水曜日

観葉植物の水やり

 当院は、たくさんの観葉植物を育てています。基本的に、僕が日々の水やりを担当しています。当初は、観葉植物を毎日みて、毎日水やりをしてしまい、結構、根腐れして死んでしまいました。最近は、前より、水やりを自制するようにできるようになりましたが、どうしても、毎日見ていると、水やりをしたくなる気持ちが抑えられません。植物の生命力を信じて、水やりを我慢して、植物が、水足りないよ~のサインまで見守ることができるようになることが、僕の今の課題です。

 うちの親が、子育てを振り返ると、「親が子を育てたんじゃなくて、勝手に子どもが育ったのを見守っただけやったわ。と話していました。木の上に立って、見守ると書いて「親」。信じて見守って、困った時は、全力で手を貸す。本人の生きようとする力を邪魔しないようにを心がけて、水やりしていこうと思います。