2023年12月20日水曜日

定型文に込められた言葉の意味

 クリニックで、患者さんが帰られる時に「お大事に」と使われる定型文には、「あなたは大切な存在であること。自分を癒そうと、ここを訪れたことに、私は敬意を持って接していること。我々ができるかぎりのことをしたので、あとは、あなた自身が自分をいたわり、養生して元気になってくださいね。」という思いが込められています。

 だからこそ、患者さんが診察室を出られる時に、「あなた自身を大切にしてくださいね。」と伝えることもあります。他にも、「挨拶言葉」が定型文になって、本来届けたい真意が伝わりにくい言葉があります。

「おはよう」は、もともと歌舞伎の世界で使われて、「お早いお着きですね」という意味です。そのため、芸能界では夜でも「おはよう」と言って挨拶するそうです。これも、相手を労う言葉という真意が込められています。

「こんばんは(今晩は)」は、「今晩は月が綺麗ですね。」

「こんにはちは(今日は)」は、「今日は寒いですね。」

「ありがとう」も「運んでくれてありがとう。」という共感や相手を思いやる言葉や真意が込められています。

 普段でも、ご飯を「ごちそうさま」と略すのではなく「時間をかけておいしいごはんを作ってくれてありがとう。ごちそうさまでした。」と相手に伝えることで、それを伝えた自分自身も手間をかけ大切にされる存在だと、気づくことにもつながる。そうした定型文に、一言を付け加える手間だけで、お互いのやりとりに血が通う。そういうことを、ちゃんと大切にしていきたいと思っているけど、なかなか、できてない日々に反省してます。