2022年12月14日水曜日

愛情ホルモンについて

人に喜びや幸福を与える生物学的な仕組みは、3種類の神経伝達物質が関与しています。

1つ目は、満腹になったり性的な興奮の絶頂で生じるもので、エンドルフィンなどの脳内麻薬が放出されることによって生じる快感で、生理的な充足と関係し我々につかの間の喜びを与えてくれます。

2つ目は、報酬系と呼ばれる仕組みで、ドーパミンという神経伝達物質を介して働いています。
大脳の線条体の側坐核と呼ばれる部位で、ドーパミンの放出が起きると快感を感じます。
サッカーの試合のゴールの瞬間とか、数学の問題が解けたとか、マラソンを完走したときなどにドーパミンが放出されます。
こうした快感が作用することで、次の目標を達成しようとモチベーションが生み出されます。
この報酬系を短絡的に得ようとするのが、酒、たばこ、ドラッグのような嗜癖性物質やギャンブル(競馬、パチンコ)などです。

3つ目は、オキシトシンという愛情ホルモンと呼ばれる神経伝達物質です。
ただ一緒にいるだけで嬉しいし、落ち着くという気持ちになれます。
身近な人間関係においての繋がりを大事にしていくことで生まれるオキシトシンを増やせる関わりが精神科的には重要ですね。

つまりは、恋がドーパミンとかエンドルフィンで、愛がオキシトシンな感じでしょうかね。
僕自身は40歳を超えて、おっさんになってきて「愛」の大切さ、重要性をより意識するようになっているので、オキシトシンの役割や作用を重視しています。

子育てにおいても、オキシトシンを介した養育だと、そもそも子どもの存在自体を認めるというスタンスなので、子ども自身も親といると安心が広がりやすく、そこを土台にして主体的に頑張っていけます。
一方、ドーパミンを介した養育だと「べきべき養育」となり、頑張っていないあなたは認めないというスタンスとなり、親子という関係性が安全基地というより緊張関係になってしまいます。

家づくりで例えると、1階部分としての心理的な安全基地が広がらないまま、2階部分の頑張ることを強要するスタンスになるので、地盤とか1階部分である安心を広げる親子の基本的信頼感を高める、そうしたオキシトシンを親子や身近な家族関係などでは大事にしておくことが重要になりますね。
そこを土台にしておけば、後は勝手に頑張るというドーパミンは、主体性の向上により出力していきやすくなります。
ドーパミンは2階で、オキシトシンは1階という理解です。
親の役割の7~8割は、この基礎となる1階部分のオキシトシン的な役割として「そのままのあなたでいいんだよ」という安心を広げてあげる役割が大事なんだと思います。
その結果、子どもは安心が広がって生活できて、心は暇を感じ、自分が何をしたいかに気づきやすくなって主体性は向上し成長していって社会で頑張っていくんだと思います。その応援を、子どもの身近な親や周囲の大人がしてあげることができたらいいですね。そのお手伝いを僕もできたらと思っているところです。