2022年9月7日水曜日

ASD特性の共有と理解の重要性について

 自閉スペクトラム症(以後ASDと略す)の脳の発達は、生後1歳から2歳の間は定型発達児よりも脳体積サイズは over growth(過形成)よりで特に大脳、小脳の白質、大脳の灰白質(特に前頭葉)が過形成ぎみであることが多いとされています。
また、神経病理的には神経細胞のニューロンやグリア細胞の過剰な発達、プログラム化された細胞死(アポトーシス)、シナプスの形成や機能異常が考えられています。
その後、成人に向けてASDも定型発達も形態的には、ほぼ一緒になっていきます。
局所的には、体積減少の報告が多いと言われていますが、実際上は評価は困難なことが多いようです。

こうした脳の発達異常から実際上で生じてくるのは、ASD傾向のある子どもの方が脳のオーバーロード(混乱)が生じやすいということになります。
つまり、対人のコミュニケーション場面において、開かれた質問をされたり、いつもと違う変化が生じたり、複雑なコミュニケーションなどが生じた際に、混乱を呈しやすくなります。

反対に、自分の興味や動機からの発信に対しては過集中となります。
これは、わがままというより特性であり、強みであり、弱点でもあります。
そして、「できることを増やしていきたい」と思うのが、子を持つ親の本能です。

しかし、親やその周囲の人らがASDの特性と戦ったらダメです。
涙とか、最悪、心の血が双方に出ます。
その子に合わせた効果的な関わりかたを一緒に考えていく上で、この「脳のオーバーロード」を念頭においておくことが重要になります。

養育の仕方においても、色々と周囲ができることをみんなのようにできないことで、自責的になる必要がないというケアが大事になってきます。
ASDの特性を含めて「どう対処するのか?」の前に「何が起こっているのか?」をまずは理解していくことが支援において重要だということだと思います。