2021年5月19日水曜日

対人関係で大切なキーワードがアスペルガー症候群

 僕は精神科医、児童精神科医として日々診療していて、精神疾患の多くが対人の相互作用での悪循環による影響が非常に大きいということを感じています。

その際に、患者さん自身の基盤にある知的な能力、アスペルガー症候群の特性が、対人面において大きな影響を及ぼしているということを実感しています。


知的な能力が低いと問題に対して分析する力が低くなったり、偏った視点で判断してしまいやすくなります。

次に、対人面で大きな影響を与えているのが、アスペルガー症候群という特性です。

つまり、相手の立場になって心情を想像することが苦手なため、どうしてもコミュニケーションが一方的になることが多く、自分の内的な感情や抽象的な理解や表出が苦手で、いわゆる社会的には「KY(空気を読めない人)」となってしまいます。

また、アスペルガー症候群の特性があると、受け入れ幅は狭く、こだわりが強く、相手が自分の思ったようにしないと一方的に責めてしまいがちです。

その反面、他者の心を読み取る力が乏しく、責められることに対しては苦手なため、相手が自分のことを責めてくると、受け入れ難く、相手に対して心を閉ざしてしまいます。


このようにコミュニケーションの相互性の困難さやこだわりの強さ、臨機応変な対応ができにくいことで柔軟で円滑な対人交流になりにくく、対人面での悪循環が生じやすいのです。

その結果、トラウマなどに発展したり不適応状態となりやすく、夫婦関係、親子関係、友人関係、仕事関係などあらゆる対人面での関係性で破綻が生じやすいのです。

そうした破綻している状態で精神科などの医療機関を受診し、状態像だけの診断名として、うつ病、躁うつ病、不安障害、アルコール依存症、強迫性障害、統合失調症、社会不安障害など様々な診断名がつくということになることが結構多いと思います。


上記で実感として述べているいるように、その根底としての基盤にアスペルガー症候群という特性がある人がかなり多いということが僕なりの視点となります。

そうした視点を念頭におくと、アスペルガー症候群の特性に本人も、その周囲の人も合わせて生活していく支援が大事になってくるということと同時に、僕の役割としてはアスペルガー症候群の特性を診断していき『変えられること』『変えられないこと』を見極め、患者さんやそのご家族と共有していき、少しでも患者さんが生きやすい方法を一緒に考えていくことが大事な治療になります。

その大切さと責任を日々感じながら、診療をしているところです。