先日、政府により新型コロナウイルスにおける緊急事態宣言が解除されましたが、今もなお連日、自粛による経済の影響や今後についてメディア等で報じられています。
日本の大手自動車メーカーであるトヨタ自動車の社長である豊田章男氏が、新型コロナウイルスの影響が拡大していた3月に、自身が会長も務める日本自動車工業会の定例会での会見で、記者から「 豊田さんは、この状況をどうお考えですか?」と聞かれ、「真剣に考えないといけないが、深刻には考えないようにしている」 と答えられたそうです。
当時、どの現場でも同様の質問をされていたらしいのですが、共通してこう回答していたそうです。
こういったやりとりがあったことを知り、自分の日々の診療を振り返りました。
僕は、日々の診療の中で、当然、精神科ですので、深刻な悩みを抱えて来院される患者さんもおられます。
僕の精神科医としての役割は、そうした深刻な悩みを聞きながら、解決の糸口を一緒になって探していくわけですが、時に、問題に飲み込まれそうになり、僕自身も深刻になってしまうことがあります。
そういう時は、僕自身もイライラしてきたり、患者さんと同調してしまい、問題に巻き込まれたような状態に一瞬一瞬でなっていることに気づくときがあります。
そうした時に、「真剣に聞くのはいいけど、深刻に聞いてはいけない」と、自分自身に声をかけます。
そうすることで、治療者として問題に意識がいきすぎて機能不全に陥ることを防いでいます。
なかなかわかっていても、どうしても気持ちや思いが先行し問題に飲み込まれそうになりますが、なるべく、その都度、診療中の自分自身に言い聞かせ、診療が終わった後に反省する日々を繰り返しています。
日々、どうしようもできないこととか、不安やイライラすることがたくさんあると思います。
真剣にはなるのはいいですけど、深刻にならずに、ユーモアとかを大切にしていきたい!そう思っています。