今回のブログのタイトルだけを見れば、何となく違和感を感じられた方もおられるかもしれませんね。
文科省調査によると、全児童生徒数に占める不登校の児童生徒数の割合は、この20年間で1.5倍の増加傾向にあり、子どもの数が減少するなかで不登校が増え続けています。
少し前では不登校の10歳の小学生Youtuberがワイドショーや情報番組で取り上げられ賛否両論がありました。
児童精神科医である僕のクリニックの外来でも、もちろん児童期の方が多く、その患者さんの中でも主訴(患者さんの訴えの中で最も主要な病症)が不登校ということが多いです。
そういった患者さんの診察場面において、通院当初は『学校に行けない!』など『~できない』と本人や親御さんが訴えたりされることが、しばしばあります。
その後、通院加療の経過の中で、次第に本人にも変化があらわれ、同時に親御さんの方にも不登校に対する理解が進んでいく中で「本人自身は、学校に行けないのではなく、学校に行かないという選択をしたんだ」というふうに徐々に変容していくことがあり、「学校に行けない」ではなく「学校に行かない」と、本人自身の「主体性の回復」を診察場面で感じることがあります。
「学校に行かない」と自分で決断できた子は、いずれ学校や社会に行くことができるようになりますから、これが不登校の治療過程で一番大事なことだと感じています。
不登校だけれども、不登校により自立が芽生え、成長していっているお子さんの診察を通して、むしろ、僕の方が逆に励まされることも結構あります。
その子の成長を感じ、通院を卒業していただいたときは、児童精神科医という職業をしていて本当に良かったな、と素直に嬉しく思います。
時には、最後の診察の際に、冗談まじりの会話を交わし、診察室でお別れして、その後、僕は診察室で余韻に浸る間もなく、また次の患者さんの診察に入っていくわけですけど。
でも、子供の成長や自立していかれる姿を見ると、僕の胸中は少し暖かな気持ちを抱くことができるのです。
「こちらの方こそ、ありがとうございました!」そう心の中で思っています。