2018年1月11日木曜日

心の治療は、身体治療と似ている

僕が理想とする治療者に、川崎医科大学で精神科学教室の主任教授をされている青木省三先生という方がいます。

その先生の著書「心の病を診るということ」の中で、
精神科の診療も基本的には身体科での外傷処置(いわゆる怪我の治療)と同じ流れであると述べられています。

ここでいう外傷処置の流れというのは、
①切開 → ②排膿 → ③消毒 → ④薬を塗る → ⑤包帯 
という流れで処置が行われることなのですが、
身体治療と同様に精神科の治療においても、この流れの治療を続けていく中で生体のもつ自然治癒力が働いて治癒することが多いと述べられています。

つまり、身体治療での外傷処置に精神科の処置を適合させて具体的に言うと、

 ① 切開:「前回から今回までに、お変わりはなかったですか?」とたずねる。
 ② 排膿:困ったことや変わったことを、具体的に聞く。
 ③ 消毒:「○○ということがあったのですね」と受け止める。
 ④ 薬を塗る:「それは大変でしたね。苦しかったでしょう」とねぎらう。「よく頑張りましたね」と感心する(ほめる)
 ⑤ 包帯:「無理しないように気をつけてくださいね」などと助言する。時には具体的な助言をすることもある。
最後に「寒いから風邪ひかないようにね」と身体を気遣う言葉で終える。

このようなさりげなく気遣う、いたわるという、当たり前のことを繰り返す。
その繰り返しのなかで、患者さんが少しずつ回復し元気になっていくように思います。