治療過程で、関係不良な親子関係の中で、お子さんの親が、子どもに対して支持的になったり、お子さんを取り巻く周囲の環境がよくなった際に、親を含めた支援者サイドからみると、お子さんが、前よりも、「お母さん、僕と一緒に死んで~」とか、今までの、親に対しての恨みや怒りを、親にぶつけるようになったり、親御さんから、余計に子どもがひどくなったと狼狽されて相談に来られることがあります。
治療的な観点では、これは、治療的には良い方向に向かっている。心理的な治療は、リフォームの匠のような、ビフォーアフターみたいに、線形で良くなるのではない。子ども視点で捉えると、今まで、親が怖くて、自分自身が言いたかったことが言えなかった、そうした抑圧を、親が許容し、優しくなり始めたら、子どもにとっての親への期待値があがるため、親に対しての抑圧から解放しはじめるのです。そうなると親は、狼狽したり、戸惑ったりしながらも、親自身も心の盾を持って、何とか耐えるのです。僕も診察で、親御さんに、これまで我慢してきたお子さんの想いに、お母さんもよく寄り添っていると労います。そして親御さんには、ここを再度、子どもに抑圧させる方向に転じたら、元の木阿弥です。「踏ん張りどころですよ~」と応援して、親子関係は、徐々に良い変化が生じてくる。子どもは反抗期、その時期は、親は動揺期です。徐々に親子の立場が変わって、子どもの背中に、親が後方支援していく形になっていく。子どもの成長は、線形ではありません。らせん形のようなもので、見方によっては停滞しているように見えても、ある日、急に成長を感じたりするものです。子どもを成長させるのが親の役割ではなく、子どもの成長を温かく見守るのが親の役割だと思って頑張りましょう。