僕が医師を目指したきっかけは、漫画でした。しかし、苦労して医大生になって、研修医になってみると、漫画の世界のような医師にはなれないことが分かり、そこから、諦めていきました。
まず、手術とかは、僕は好きじゃないので、外科医は諦めました。小児科領域の色々な病気とか、特に先天性心疾患とか覚えられないし、頭に入りにくいから小児科医は諦めました。医大生の頃から、精神科領域は、すごく学べるし、15年精神科医をしていますが、未だにこの仕事は、飽きないし、ずっと学び続けられるし、実践して、反省して、とてもやりがいを感じられています。これも、自分の得意、不得意とかを見定めて、諦めることで、たどり着いた職業です。精神科領域の中でも、僕は実践する診療が好きで、教育や研究には、あまり興味を持てなくて、大学院なども進みませんでした。
日々諦めることを能動的に、積極的にしてきたからこそ、できることを伸ばして、やりたいことを人生の中心において、いきることができる。学校では、諦めないことばかりにフォーカスをあてて教育しがちだけど、仏教的には、あきらめるとは「明らかに見る」という意味で、自分自身が、本当に大切にしたいものを明らかにするという前向きな行動とされています。どんどん、能動的、積極的にあきらめて、その結果、自分のよさをみつけて、生きやすくなっていって欲しいです。