2024年1月10日水曜日

世界に一つだけの花の誕生秘話

  日本を代表する歌「世界に一つだけの花」の作詞・作曲を手がけた槇原敬之さんは、薬物違反で執行猶予の有罪判決を19993月に受けました。その後、寺で謹慎していた槇原さんに、住職が浄土真宗で、よく勤められる『仏説阿弥陀経』の一節、「池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」という部分を説いたとされている。大意は「浄土ではさまざまな花が咲いているが、それぞれが、それぞれの個性の上に無上の尊厳を認め合い存在している。」ということで、この経文に槇原さんが感銘を受けて『世界に一つだけの花』の歌詞が誕生したそうです。

「(極楽浄土の)池に咲いている蓮の花は、その大きさが車輪のようであり、青い花は青い光を、黄色い花は黄色い光を、赤い花は赤い光を、白い花は白い光を、それぞれ放つ。」

 つまり意味は「世界に一つだけの花」と同じ様に「赤い花が、青い花になる事はないし、なる事も出来ない。」というような意味です。歌詞の「世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい。」という部分と対応しています。

 青い花として生まれたのに、白く光ることを強いられたり、赤い花として生まれたのに、黄色く光らなければならなかったり。仏教が目指す人の幸せな世界である浄土は、生まれたままの私が、まるごと受けいれられ、本当に自分らしく輝くこと、が出来ることなのです。浄土には、いろんな種類の花が咲いているが、それぞれが、各々の個性を認め、尊重しあって存在している、ということです。そうした、自分という個性や特性を、大事にして、それが社会に活かされて、各々が自分らしい花を咲かせて、自分も他者も認め合えるような社会を目指せることが浄土への道だと思います。

 僕も、この診察室という狭い場所ですけど、「世界に一つだけの花」「NO.1にならなくてもいい、もともと特別なOnly one」と思って、今日は、歌うように診察してみようと思います。だから、今日だけは診察室で、急に歌いだしても、許してください。