2019年4月11日木曜日

診断名や病名よりも見立ての方がもっと大事!

僕は再診の患者さんの診察をする前には、当然なことですが、その患者さんの診断名や病名、見立てなどを頭に入れてから診療しています。
診察室で患者さんから「私の病名は何ですか?」とか聞かれることがあるのですが、咄嗟にそれが言えないことがあります。
僕の中では、診断名や病名というよりも、その人そのものと思って話をしているからです。

話は変わりますが、モンゴル人力士で元横綱の朝青龍が、現役時代に本場所での優勝後、腰、ひじなどの体調不良を理由に巡業を休み、モンゴルへ帰国しているにもかかわらず、 モンゴルで元気そうにサッカーをする様子がメディアで放送されたために非難が集中し、日本へすぐに呼び戻され、処分を受けることになり、この処分が決定された頃から、精神的な不調を呈していたのが、当時、テレビなどで取り沙汰されていました。
その様子に、テレビ番組に出演していた多くの精神科医が、それぞれの番組で朝青龍に対して、うつ病、適応障害とか解離性障害、PTSDなどなど、10人の精神科医がいたら10人とも診断が異なるなどがありました。
それだけ精神科領域の診断名というのは、その精神科医の診方によって、かなり異なるということです。

しかし、当時テレビ番組に出演していた多くの精神科医の先生らの朝青龍の治療における見立ては、あれだけ元々心身ともに屈強な人だから、まずはマスコミなどの接触をさけたり、情報を制限して本人が安心できる場所で、ゆっくり休息していければ自然と回復していくはずでしょう、といったもので、 そのほとんどの精神科医の見立ては、ほぼ共通していました。

これは一つの具体例としてあげさせていただきましたが、僕自身としても精神科領域で重要視しているのは、診断よりも見立て、見立てを意識して支援していくことです。
ただし、その見立てのためにも診断をきっちりするべき時は、診断をきっちりつけに行くことは言うまでもありません。