2019年10月10日木曜日

医師になろうと思ったきっかけ

前回のブログでは、精神科医を選択したきっかけについて少しご紹介させていただきましたが、今回の内容も前回同様「先生は、なんで医師になろうと思ったんですか?」と患者さんに聞かれることがあるので、今回はもう少しさかのぼって医師を志したきっかけについて少し触れさせていただきたいと思います。

僕が医師になりたいと最初に思ったのは、小学生の低学年の頃でした。
それは、自分の曾祖母の遺体を初めて見たことがきっかけでした。
あまり意味も解らず両親に連れられていったお通夜で、顔にそっと白い布を置かれた曾祖母らしき人が布団に寝ていました。
幼かった僕は全く何も考えず、その白い布をとり、曾祖母だと確信したと同時に亡くなっていることを直感的に感じ、びっくりして母のもとにかけよったことを今でも鮮明に覚えています。

身近な人の「死」というものを直面したその夜、幼いながら初めて「死」というものについて考えました。
まず、自分もいつかその日がくるということを考え、そして先に両親にもその日がくるということを考えると、為す術の無い恐怖で怖くて怖くて眠れず、両親の布団にもぐり込み両親の間に挟まりながら何とか少しずつ気持ちが安心していくのを感じ、ようやく眠れたことを思い出します。

その日以降「死」を意識するようになり、その影響で同時に自然と「生きる」ことも意識し、人間的に成長していける仕事に就こうと漠然と考えるようになったのです。
なので、幼かった当時の僕は、現実に触れることのできる距離で身近な人の亡骸を目の当たりにし「死」を意識させられたことが最初のきっかけで「生」を意識し、その延長で「仕事」を意識するようになり医師という職業に直結していったのかもしれません。

もちろん、きっかけを振り返ったときのこじつけととらえる事もできますし、その後、色々なモノの影響があったりするので全てではありませんし絶対確実なものでもありません。
あくまで、40歳の今の自分が振り返り語っているので、多分に脚色が入っているような気もしますが、その出来事で子どもの頃に眠れぬ夜を過ごし、多少かもしれませんが、それ以降の人生に影響があったことは事実です。