2019年10月3日木曜日

精神科医を選んだ理由

先生は何で精神科医を選んだんですか?と患者さんに聞かれることがあります。 
今回のブログは、小学生の頃に抱いていた夢から医学生時代を振り返り、全ての理由ではありませんが、僕が精神科医を選択した理由について少し触れたいと思います。

僕は小学生の頃、当時読んでいたある漫画の影響もあり、内科でも外科でも何でも診れる総合診療医になりたいという夢を持っており、いつの日か診療所を開業して地域で信頼される医師になりたいと思っていました。

しかし、みなさんもご存じのとおり、医師といっても、それぞれ専門領域が違い、それぞれの診療科目があります。
医学部に進学し、外科、内科等の診療科目や専門領域は関係無く一通り医師としての勉強や実習を行っていく中で、どの領域に進もうか、または総合診療医になるにはどう進んでいこうか、などと決めて行かれた先生も多いと思います。
僕自身もそういった医師の卵の一人でした。
※ もちろん、診療科目や専門領域は既に決まっていて、その意思をずっと貫く先生もたくさんいらっしゃいます。

よく仕事には、頭脳労働、肉体労働、感情労働の3つに大別されるといわれます。
ほとんどの仕事でもそうですが、あくまで大別されているだけであって、頭脳、肉体、感情の占める割合だということは言うまでもありません。
医師も同様に、どの診療科目であっても、それぞれの要素は必要不可欠ではありますが、僕が学生時代に、個人的に漠然と感じた占める割合の多さは、外科系が肉体、内科系が頭脳であるということでした。

正直なところ、学生時代には明確な選択の答えは出ず、医師となってから、医師である前に自分は人間として少しでも成長していきたい、そのために人間性を一番問われる仕事で勝負したい、と考えるようになっていきました。
その時に、僕が医師を目指したのも3つの中で感情労働を大事にしたかったんだということに気づきました。   
そう考えていた際に、精神科の診療をみて、これが僕の仕事だと思ったのがきっかけです。
それに児童精神科という専門領域を知って、児童精神科に進めば子どもから大人まで、すべての人生に関わるという「総合医」になれるな、と腑に落ちて精神科を選択して今に至ります。

子どもの時に夢みた総合診療医にはなれなかったけど、子どもから大人、老人まで、老若男女の患者さんに、このクリニックに来ていただき、あらゆる精神的な疾患を総合的に「心療」させていただいています。
「総合診療」ではないけど「総合心療」で、地域にちょっとでも支えになれるように、子どもの頃から抱いていた夢に向かっていけたらいいなあ~と思って、前進していきたいと思います。