2025年3月26日水曜日

心理療法による関わりの中で、どういった要因が実際的治療(改善)に役立っているのか

 僕は、精神療法を重要視している精神科医で、そうしたカウンセリングを重視しているからこそカウンセラーと協働で支援するクリニックを運営しています。そのため、「心理療法による関わりの中で、どういった要因が実際的治療(改善)に役立っているのか」を知っておくことは重要です。

 マイケル・J・ランバートによると、治療外変化(40%);クライエントの要因(自身の持つ自我の強さや、その他のホメオスタティックなメカニズム)、環境(例えば、幸運な出来事、ソーシャル・サポート)で、心理療法に参加しているかどうかに関わらず回復に繋がる要因。期待(プラシーボ効果)(15%);受けている治療に関するクライエント自身が有する知識と、特定の治療技術や理論の信頼性に由来する治療効果。技法(15%);特定の心理療法における固有の要因(例えば、ブリーフセラピー、認知行動療法)共通要因(30%)セラピストの理論的なオリエンテーションによらない、セラピーで見出される多くの要因(共感、温かさ、受容、チャレンジしたことへの激励など)以上の割合で示されることが多いようです。

 心理療法の独自の技法が持つ効果は15%、そこのプラセボ効果などの期待の効果を加えても30%で、共通要因である基本的な支援者との関係性や応答態度、治療とは関係のない相談者による動きが活性化されることで生じやすくなる治療外変化を合わせて70%程度の改善要因を有している。こうした割合を念頭において、現代に合わせた治療効果を得られるように日々取り組んで参りたいと思います。


2025年3月19日水曜日

診断に必要な情報は、病歴聴取で70%、身体診察で20%、検査で10%

  一般的に、医療的な診断に必要な情報は、病歴聴取で70%、身体診察で20%、検査で10%が得られるとされている。

 総合診療医で高名な生坂先生は「症状があれば病歴聴取で100%近く当たりが付く」と述べられ「なぜなら、患者さんは診断に必要なキーワードを必ず言ってくれているから。そこに全ての解があります。」と説明されています。

 生坂先生が率いる千葉大学医学部付属病院の総合診療科では、自費診療で診察料は1回5万円。当初は、批判もあったようですが、保険診療ではなく、自由診療にすることで、診察に時間をかけて、正しい診断を導きだせるため、全国の患者さんで、原因不明の病気で悩んでいる方にとっては、ドクターショッピングする手間も時間も節約できて、患者満足度が高くなるため、患者さんが殺到し、現在でも予約は半年待ちだそうです。

 生坂先生は、「完璧な診断はない。診断推論を突き詰めてきたからこそ、ますますそう思うようになりました。だから成長するんです、僕もまだまだ成長したい」とにっこり笑う。

 座右の銘は「日々向上」決して今の自分に満足することなく、もっと早く、もっと正しい診断を導き出すために、今日も患者さんの言葉に耳を傾けている。

なんかいいですね。僕も、頑張りたいと思います!

2025年3月12日水曜日

シングルマザーの母と小1の娘の抱っこ

  昨年の探偵ナイトスクープで、シングルマザーの母と小1の娘さんの二人暮らしで、母は離婚後、働き詰めで、娘が幼少の頃から、娘が母に抱っこをせがんでも母は疲れていて、拒否してばかりいました。次第に、娘は抱っこを母に要求することが減りました。でも、小1の娘が、母に抱っこをして欲しいことや色々母に対して我慢していることがあり、娘の母に甘えたい欲求を充足させてやれないことに、母としても申し訳ない気持ちがあり、探偵に、母が、もう一度娘を思い切り抱っこをしてあげて、娘の甘えたい気持ちを充足させてあげたい、その応援をして欲しいという依頼となりました。

 小1の娘さんに探偵が聞くと、徐々に涙を浮かべて、「お母さんに抱っこして欲しいけど、お母さんはいつも疲れてしんどそうだし、自分は大きくなったので、抱っこは、お母さんがしんどそうだし・・・」と甘えたい気持ちと母を気遣う思いの葛藤状態を認めていました。母の希望で、家から結構離れた公園で、母が娘を久しぶりに抱っこをして、自宅までの行程を、母が娘さんを抱っこし続けて帰ることになりました。途中、母が疲れて娘を降ろしてしまうと、もう娘は、母を気遣って抱っこをしなくていいと再び、母に甘えたいという思いに蓋をしてしまうことが、母は分かっていたので、適宜抱っこをした状態で、母子がくっついた状態で、座って休憩してを繰り返して、母も娘も自宅に到着した時には、親子ともに号泣していました。当然、僕も、視聴して、感動して号泣しています。

 母が娘を思う気持ち、娘の心の葛藤状態(甘えたい気持ちと、母を思いやる気持ち)とが混ざり合って、自宅というゴールを目指す親子の共同体になっている姿が素晴らしかった。母子ともに一生忘れない抱っこになったことでしょう。

 こういうことが、「愛着の再形成」です。

 どうしても、クリニックでは、言語的な力に頼り勝ちですけど、「もっとスキンシップとか非言語的なコミュニケーションの力の方が大事やねんな~」と再認識できたりしました。      何度でも親子は生きていたらやり直せる。探偵ナイトスクープの取り組みは、やっぱり勉強になります。感動をありがとう!

2025年3月6日木曜日

親子関係が悪くなったら、お笑いアプローチ!

  昨年の探偵ナイトスクープの番組で、父と思春期の娘さんが、数年前に、父が娘を怒鳴って以降、お互いに会話をしなくなったそうです。数年間、父も、何度も頑張って娘と会話しようとすると吐き気が出る程、過度に緊張状態となってしまうため、番組に依頼となりました。

 こうした何年も会話してない父子関係を、探偵はどうしたか?

深刻な問題となりがちな親子関係を真正面から対応するのではなく、父をオバQのコスプレ(白い全身タイツとオバQの化粧です。)をさせました。それに加えて、学校から帰ってくる娘さんにも、同じようにオバQのコスプレを、父に内緒でしてもらい、双方がサプライズの状態で、自宅で父子が向き合うことになりました。

 前提条件として、そもそも、父子ともに仲直りしたいと思っていたのです。そのきっかけをつかめずにいたのです。オバQ同士の父子が、向き合いつつ、次第に、父が吐き気を認めながらも、周囲の励ましを受け、娘に会話をするようになり、感動の何年かぶりの親子の会話となりました。

 ユーモアの力はすごい。支援者としても、非常に勉強になりました!